玉柳
みどりの枝の
よわければ
うぐひすとむる
力だになし
たまやなぎ
みどりのえだの
よわければ
うぐひすとむる
ちからだになし


寂しくて
人くともなき
山ざとに
いつはりしける
鶯のこゑ
さびしくて
ひとくともなき
やまざとに
いつはりしける
うぐひすのこゑ


よしさらば
導べにもせむ
今日ばかり
花もてむかへ
春の山風
よしさらば
しるべにもせむ
けふばかり
はなもてむかへ
はるのやまかぜ


秋毎に
刈り來る稻は
積みつれど
老いにける身ぞ
置所なき
あきごとに
かりくるいねは
つみつれど
をいにけるみぞ
おきどころなき


白雪の
降れる旦の
白粥は
いとよくにたる
物にぞありける
しらゆきの
ふれるあしたの
しらかゆは
いとよくにたる
ものにぞありける
Белая каша —
Вот что подходит
Отлично
Этому утру, когда
Падает белый снег.
Примерный перевод

おし張りて
弓の袋と
知る〳〵や
思はぬ山の
物を入るらむ
おしふりて
ゆみのふくろと
しるしるや
おもはぬやまの
ものをいるらむ


玉垂の
みすのうちより
出でしかば
空だき物と
誰も知にき
たまたれの
みすのうちより
いでしかば
そらだきものと
たれもしりにき


夕凪に
ほづゝしめ繩
繰りさげて
泊りけずらひ
寄する舟人
ゆふ凪に
ほづつしめなは
繰りさげて
とまりけずらひ
よするふねひと


我戀は
目さへいつかは
近江なる
安きいをだに
ぬるよしぞなき
わがこひは
めさへいつかは
あふみなる
やすきいをだに
ぬるよしぞなき


風荒き
山田の庵の
菰すだれ
時雨をかけて
洩る木の葉かな
かぜあらき
やまだのいほの
こもすだれ
しぐれをかけて
もるこのはかな


今日の日は
暮るゝ外山の
かぎ蕨
明けば又見む
折過ぎぬまに
けふのひは
くるるとやまの
かぎわらび
あけばまたみむ
をりすぎぬまに


明くる間を
なほたゝくこそ
夏の夜の
心短き
水鷄なりけれ
あくるまを
なほたたくこそ
なつのよの
こころみぢかき
くひななりけれ


ゆふかけし
神の北野の
一夜松
今はほとけの
御祓なりけり
ゆふかけし
かみのきたのの
ひとよまつ
いまはほとけの
みそぎなりけり


たきつ河に
亂れし玉の
をだえして
水の糸すぢ
氷しにけり
たきつかはに
みだれしたまの
をだえして
みづのいとすぢ
こほりしにけり


見渡せば
佐保の河原に
くりかけて
風によらるゝ
青柳の糸
みわたせば
さほのかはらに
くりかけて
かぜによらるる
あをやぎのいと


つらかきな
山の杣木の
我ながら
打つすみ繩に
引かぬ心は
つらかきな
やまのそまぎの
われながら
うつすみなはに
ひかぬこころは


大井川
かへらぬ水の
鵜飼舟つ
かふと思ひし
御代ぞ戀しき
おほゐかは
かへらぬみづの
うかふねつ
かふとおもひし
みよぞこひしき


あやしくも
花のあたりに
ふせるかな
をらはとかむる
人やあるとて
あやしくも
はなのあたりに
ふせるかな
をらはとかむる
ひとやあるとて


うの花よ
いてことことし
かけしまの
浪もさこそは
いはをこえしか
うのはなよ
いてことことし
かけしまの
なみもさこそは
いはをこえしか


けふかくる
たもとにねさせ
あやめ草
うきはわか身に
ありとしらすや
けふかくる
たもとにねさせ
あやめくさ
うきはわかみに
ありとしらすや


ともしして
はこねの山に
あけにけり
ふたよりみより
あふとせしまに
ともしして
はこねのやまに
あけにけり
ふたよりみより
あふとせしまに


夏のうちは
はたかくれても
あらすして
おりたちにける
むしのこゑかな
なつのうちは
はたかくれても
あらすして
おりたちにける
むしのこゑかな


あきくれは
秋のけしきも
みえけるは
時ならぬ身と
なににいふらん
あきくれは
あきのけしきも
みえけるは
ときならぬみと
なににいふらむ


あさ露を
日たけてみれは
あともなし
はきのうらはに
物やとはまし
あさつゆを
ひたけてみれは
あともなし
はきのうらはに
ものやとはまし


つはなおひし
をののしはふの
あさ露を
ぬきちらしける
玉かとそみる
つはなおひし
をののしはふの
あさつゆを
ぬきちらしける
たまかとそみる


おちにきと
かたらはかたれ
をみなへし
こよひは花の
かけにやとらん
おちにきと
かたらはかたれ
をみなへし
こよひははなの
かけにやとらむ


くれの秋
ことにさやけき
月かけは
とよにあまりて
みよとなりけり
くれのあき
ことにさやけき
つきかけは
とよにあまりて
みよとなりけり


いたひさし
さすやかややの
時雨こそ
おとしおとせぬ
かたはわくなれ
いたひさし
さすやかややの
しくれこそ
おとしおとせぬ
かたはわくなれ


ふえ竹の
あなあさましの
よの中や
ありしやふしの
かきりなるらん
ふえたけの
あなあさましの
よのなかや
ありしやふしの
かきりなるらむ


したひくる
恋のやつこの
たひにても
身のくせなれや
ゆふととろきは
したひくる
こひのやつこの
たひにても
みのくせなれや
ゆふととろきは


あふことの
なけきのつもる
くるしさを
おへかし人の
こりはつるまて
あふことの
なけきのつもる
くるしさを
おへかしひとの
こりはつるまて


人のあしを
つむにてしりぬ
わかかたへ
ふみおこせよと
おもふなるへし
ひとのあしを
つむにてしりぬ
わかかたへ
ふみおこせよと
おもふなるへし


おそろしや
きそのかけちの
まろ木はし
ふみみるたひに
おちぬへきかな
おそろしや
きそのかけちの
まろきはし
ふみみるたひに
おちぬへきかな


ふえ竹の
こちくとなにに
おもひけん
となりにおとは
せしにそ有りける
ふえたけの
こちくとなにに
おもひけむ
となりにおとは
せしにそありける


やつはしの
わたりにけふも
とまるかな
ここにすむへき
みかはとおもへと
やつはしの
わたりにけふも
とまるかな
ここにすむへき
みかはとおもへと


つらしとて
さてはよもわれ
山からす
かしらはしろく
なる世なりとも
つらしとて
さてはよもわれ
やまからす
かしらはしろく
なるよなりとも


かみにおける
もしはまことの
もしなれは
うたもよみちを
たすけさらめや
かみにおける
もしはまことの
もしなれは
うたもよみちを
たすけさらめや


けふも又
むまのかひこそ
ふきつなれ
ひつしのあゆみ
ちかつきぬらん
けふもまた
うまのかひこそ
ふきつなれ
ひつしのあゆみ
ちかつきぬらむ