折りて見る
かひもあるかな
梅の花
けふここのへの
にほひまさりて
をりてみる
かひもあるかな
うめのはな
けふここのへの
にほひまさりて


九重の
内たにあかき
月影に
あれたるやとを
思ひこそやれ
ここのへの
うちたにあかき
つきかけに
あれたるやとを
おもひこそやれ


わりなしや
身は九重の
内乍
とへとは人の
うらむべしやは
わりなしや
みはここのへの
うちながら
とへとはひとの
うらむべしやは


他よりも
散らぬ日數や
重ぬらむ
我が九重の
宿のさくらは
ほかよりも
ちらぬひかずや
かさぬらむ
わがここのへの
やどのさくらは


九重の
まぢかき宿の
やへざくら
春を重ねて
君ぞ見るべき
ここのへの
まぢかきやどの
やへざくら
はるをかさねて
きみぞみるべき


たづねける
知らぬ山路の
櫻花
けふ九重の
かざしとぞ見る
たづねける
しらぬやまぢの
さくらばな
けふここのへの
かざしとぞみる


身の春を
いつとか待たむ
九重の
御階の櫻
よそにのみ見て
みのはるを
いつとかまたむ
ここのへの
みはしのさくら
よそにのみみて


人よりも
まづこそ見つれ
九重の
雲居にすめる
よひの月影
ひとよりも
まづこそみつれ
ここのへの
くもゐにすめる
よひのつきかげ


九重の
今日のかざしの
櫻ばな
神もむかしの
春はわすれじ
ここのへの
けふのかざしの
さくらばな
かみもむかしの
はるはわすれじ


三の世に
散るも散らぬも
九重の
花の色をば
君ぞ見るべき
みつのよに
ちるもちらぬも
ここのへの
はなのいろをば
きみぞみるべき


九重の
たけのそのよも
忘られず
きゝてなれにし
鶯のこゑ
ここのへの
たけのそのよも
わすられず
ききてなれにし
うぐひすのこゑ


これまでも
君がためとぞ
うゑ置きし
今九重の
庭のくれ竹
これまでも
きみがためとぞ
うゑおきし
いまここのへの
にはのくれたけ


おなじくば
八百萬代を
ゆづらなむ
わが九重の
庭のくれ竹
おなじくば
やほよろづよを
ゆづらなむ
わがここのへの
にはのくれたけ


百敷や
我が九重の
秋の菊
こゝろのまゝに
をりてかざゝむ
ももしきや
わがここのへの
あきのきく
こころのままに
をりてかざさむ


九重の
み垣に志げる
くれ竹の
生ひそふ數は
千世の數かも
ここのへの
みかきにしげる
くれたけの
おひそふかずは
ちよのかずかも


なれて見し
雲居の花も
世々ふりて
面影かすむ
九重のはる
なれてみし
くもゐのはなも
よよふりて
おもかげかすむ
ここのへのはる


九重の
庭のともしび
影更けて
星合のそらに
月ぞかたぶく
ここのへの
にはのともしび
かげふけて
ほしあひのそらに
つきぞかたぶく


こゝのへの
櫻かざして
今日はまた
神につかふる
雲の上人
ここのへの
さくらかざして
けふはまた
かみにつかふる
くものうへひと


ほのかなる
聲ぞ聞ゆる
九重の
宮のほかにや
鳥は鳴くらむ
ほのかなる
こゑぞきこゆる
ここのへの
みやのほかにや
とりはなくらむ


花誘ふ
風は吹くとも
九重の
ほかには志ばし
散さずもがな
はなさそふ
かぜはふくとも
ここのへの
ほかにはしばし
ちらさずもがな


九重の
うちのゝ雪に
跡つけて
遙かに千世の
道を見るかな
ここのへの
うちののゆきに
あとつけて
はるかにちよの
みちをみるかな


九重の
おなじみがきの
うちながら
霞こめたる
鴬の聲
ここのへの
おなじみがきの
うちながら
かすみこめたる
うぐひすのこゑ

すゑばの露
こゝのへの
霞のまより
花をみて
あはれ心の
みだれそめぬる
ここのへの
かすみのまより
はなをみて
あはれこころの
みだれそめぬる

物語二百番歌合
九重の
花の盛りを
見にくやと
をしき匂ひを
しるべにぞやる
ここのへの
はなのさかりを
みにくやと
をしきにほひを
しるべにぞやる


九重の
都に春や
立ぬらん
あまつ雲井の
けさはかすめる
ここのへの
みやこにはるや
たちぬらん
あまつくもゐの
けさはかすめる
В девятислойной
Столице не весна ль
Началась?
Колодец облаков на небе
С утра дымкой затянуло!
* коконоэ-но — обычно про столицу (todo)
九重の
雲のうへなる
花なれば
又まがふべき
色やなからん
ここのへの
くものうへなる
はななれば
またまがふべき
いろやなからん


うつしうへば
山路の菊も
ことしより
はや九重の
色に咲なん
うつしうへば
やまぢのきくも
ことしより
はやここのへの
いろにさかなん


つかふとて
まづふみ分し
九重の
雲井の庭の
雪の曙
つかふとて
まづふみわけし
ここのへの
くもゐのにはの
ゆきのあけぼの


九重の
内のみつねに
恋ひしくて
雲の八重立つ
山は住み憂し
ここのへの
うちのみつねに
こひしくて
くものやへたつ
やまはすみうし