Весна
0
Лето
180
Осень
3
Зима
0
Любовь
0
Благопожелания
0
Странствия
1
Разлука
0
Скорбь
0
Буддийское
0
Синтоистское
0
Разное
10
Иное
0
夏すぎて
けふや幾日に
なりぬらむ
衣手すゞし
夜はの秋風
なつすぎて
けふやいくひに
なりぬらむ
ころもですゞし
よはのあきかぜ
Уж сколько
Дней прошло,
Как лето миновало.
Холодит рукав
Осенний ночной ветер.
Примерный перевод

我が宿の
そともに立てる
楢の葉の
茂みにすずむ
夏は来にけり
わがやどの
そともにたてる
ならのはの
しげみにすずむ
なつはきにけり
В разгаре — лето,
Даже густая сень дубов,
Что за калиткою
Приюта моего,
Желанной не даёт прохлады.
* В оригинале: Пришло лето, когда в моём саду в тени дубов прохладно! (а вне тени — нет)
風そよぐ
あしまの螢
ほの見えて
浪のよる待つ
程ぞ凉しき
かぜそよぐ
あしまのほたる
ほのみえて
なみのよるまつ
ほどぞすずしき


夏衣
かとりの浦の
うたゝねに
浪のよる〳〵
かよふ秋かぜ
なつころも
かとりのうらの
うたたねに
なみのよるよる
かよふあきかぜ


夏衣
かさぬばかりに
凉しきは
結ぶいづみに
秋や立つらむ
なつころも
かさぬばかりに
すずしきは
むすぶいづみに
あきやたつらむ


楸おふる
影にや秋も
通ふらし
きよき河原の
なつの夕かぜ
ひさぎおふる
かげにやあきも
かよふらし
きよきかはらの
なつのゆふかぜ


螢とぶ
かた山蔭の
夕やみは
秋よりさきに
かねてすゞしき
ほたるとぶ
かたやまかげの
ゆふやみは
あきよりさきに
かねてすずしき


秋ちかし
雲居までとや
行く螢
澤邊のみづに
かげの亂るゝ
あきちかし
くもゐまでとや
ゆくほたる
さはべのみづに
かげのみだるる


秋風と
かりにやつぐる
夕ぐれの
雲近きまで
行くほたる哉
あきかぜと
かりにやつぐる
ゆふぐれの
くもちかきまで
ゆくほたるかな


雨晴れて
露吹きはらふ
木ずゑより
風にみだるゝ
蝉の諸聲
あめはれて
つゆふきはらふ
こずゑより
かぜにみだるる
せみのもろごゑ


風高き
松の木蔭に
立ちよれば
聞くも凉しき
日ぐらしの聲
かぜたかき
まつのこかげに
たちよれば
きくもすずしき
ひぐらしのこゑ


蝉の聲は
風にみだれて
吹き返す
楢のひろ葉に
雨かゝるなり
せみのこゑは
かぜにみだれて
ふきかへす
ならのひろはに
あめかかるなり


降るほどは
志ばしとだえて
村雨の
過ぐる梢の
蝉のもろ聲
ふるほどは
しばしとだえて
むらさめの
すぐるこずゑの
せみのもろこゑ


内も外も
見えぬ扇の
程なきに
凉しき風を
いかでこめけむ
うちもほかも
みえぬあふぎの
ほどなきに
すずしきかぜを
いかでこめけむ


松風の
吹く音ながら
山水の
岩根をつたふ
なみぞすゞしき
まつかぜの
ふくおとながら
やまみづの
いはねをつたふ
なみぞすずしき


御祓川
はや瀬凉しく
行く水や
やがて夏なき
音を立つらむ
みそぎかは
はやせすずしく
ゆくみづや
やがてなつなき
おとをたつらむ


志づかなる
心はいさや
結ぶての
岩間の水ぞ
身さへ凉しき
しづかなる
こころはいさや
むすぶての
いはまのみづぞ
みさへすずしき


山のはの
つらさをしらで
夏の夜は
半天にのみ
のこる月かな
やまのはの
つらさをしらで
なつのよは
なかそらにのみ
のこるつきかな
Летней ночью,
Не зная о жестокости
Склонов горных,
На середине неба
Остаётся луна.
Примерный перевод

時しらぬ
山こそあらめ
夏のよの
月さへこほろ
富士の川浪
ときしらぬ
やまこそあらめ
なつのよの
つきさへこほろ
ふじのかはなみ


山のはに
霞も霧も
立そはぬ
月のさかりは
夏の夜の空
やまのはに
かすみもきりも
たちそはぬ
つきのさかりは
なつのよのそら
На склонах гор
Ни дымка весенняя,
Ни осенний туман
Не мешают: ярка луна
Ночью на летнем небе.
Примерный перевод

風ふけば
河べ凉しく
よる波の
たち歸るべき
心地こそせね
かぜふけば
かはべすずしく
よるなみの
たちかへるべき
ここちこそせね
Подует ветер — освежает,
У берега реки прохладны
Приближающиеся волны,
Что набегут на берег и отхлынут,
Как это волнует сердце!
Примерный перевод

杣川の
筏のとこの
うきまくら
夏は凉しき
ふしどなりけり
そまかはの
いかだのとこの
うきまくら
なつはすずしき
ふしどなりけり
Дно плота
На реке, где лес сплавляют,
Качающееся изголовье,
С летней прохладой
Станет местом для ночлега.
Примерный перевод

五月闇
短き夜半の
うたた寝に
花橘の
袖にすずしき
さつきやみ
みぢかきよはの
うたたねに
はなたちばなの
そでにすずしき
Майская ночь коротка...
На миг забывшись,
Ощутил на рукаве
Цветущих померанцев аромат:
Повеяло прохладой...

すずしさは
秋やかへりて
初瀬川
古川のべの
杉のしたかげ
すずしさは
あきやかへりて
はつせかは
ふるかはのべの
すぎのしたかげ
У древней Хацусэ-реки,
Под сенью криптомерии,
Прохладно так,
Что думаешь:
«Уж лучше б осень!»
* Хацусэ — река в префектуре Нара, на территории г. Сакураи (см. коммент 157). С этим местом связано много преданий и легенд.
道のべに
清水流るる
柳かげ
しばしとてこそ
立ちとまりつれ
みちのべに
きよみながるる
やなぎかげ
しばしとてこそ
たちとまりつれ
В пути
Задумал отдохнуть я
Возле ручья,
В тени плакучей ивы,
Но вот — уже замёрз!
* Танка Сайгё продолжает тему о том, как прохладно у воды в тени деревьев. Мысль поэта не закончена: часть её осталась в подтексте (ёдзё) — в тени ивы у ручья так прохладно, что долго не просидишь, а значит, короток будет отдых.

* [А.С.] Японские комментаторы дают иное трактование: под сенью ив у воды так здорово и прохладно, что пусть и хотел остановиться ненадолго, но уснул и проспал куда как дольше.
よられつる
野もせの草の
かげろひて
すずしくくもる
夕立の空
よられつる
のもせのくさの
かげろひて
すずしくくもる
ゆふだちのそら
Травы в полях,
Поникшие от солнечной жары,
Теперь вздохнут:
Сгустились тучи, предвещая ливень,
Повеяло прохладой...

おのづから
すずしくもあるか
夏衣
日も夕暮れの
雨の名残に
おのづから
すずしくもあるか
なつころも
ひもゆふぐれの
あめのなごりに
Вечер...
Летний ливень
Прошёл,
После себя оставив
Желанную прохладу.

山里の
峰の雨雲
とだえして
夕べすずしき
まきの下露
やまざとの
みねのあまくも
とだえして
ゆふべすずしき
まきのしたつゆ
Горный приют...
Уж тучи разошлись над горной кручей,
Дождь миновал,
И так прохладна под деревьями
Вечерняя роса!

夏の夜も
かげぞ凉しき
久方の
月のいづくに
秋やどるらむ
なつのよも
かげぞすずしき
ひさかたの
つきのいづくに
あきやどるらむ


夏草の
露わけごろも
この頃も
あかつきおきは
袖ぞ凉しき
なつくさの
つゆわけごろも
このころも
あかつきおきは
そでぞすずしき


風そよぐ
ならのはがくれ
影見えて
くもるもすゞし
夏の夜の月
かぜそよぐ
ならのはがくれ
かげみえて
くもるもすずし
なつのよのつき


一むらは
やがて過ぎぬる
夕立の
なほ雲殘る
そらぞ凉しき
ひとむらは
やがてすぎぬる
ゆふだちの
なほくものこる
そらぞすずしき


凉しさは
立ちよるからに
しられけり
秋風ちかき
衣手の杜
すずしさは
たちよるからに
しられけり
あきかぜちかき
ころもでのもり


遠近の
木ずゑに蝉の
こゑはして
山路凉しき
松の志たかげ
をちこちの
こずゑにせみの
こゑはして
やまぢすずしき
まつのしたかげ
То тут, то там
Стрекочут в кронах
Цикады.
На горных тропах
Под тенью сосен так зябко.
Примерный перевод

夏山の
影をしけみや
たまほこの
道行く人も
立ちとまるらん
なつやまの
かけをしけみや
たまほこの
みちゆくひとも
たちとまるらむ
Густы тени
В летних горах,
Даже путник,
Идущий сквозь них,
Непременно устроит привал!
Примерный перевод

なつ山の
かけをしけみや
たまほこの
みちゆきひとも
たちとまるらん
なつやまの
かけをしけみや
たまほこの
みちゆきひとも
たちとまるらん

[拾遺]
* вариант: みちゆく
我のみや
かけとはたのむ
しらなみも
たえすたちよる
岸のひめまつ
われのみや
かけとはたのむ
しらなみも
たえすたちよる
きしのひめまつ
Разве ль только я
Желаю в теньке оказаться?
И белые волны
Без конца набегают на берег,
К принцессе-сосне стремясь.
Примерный перевод

夜もすがら
宿る清水の
凉しさに
月も夏をや
よそにみる覽
よもすがら
やどるしみづの
すずしさに
つきもなつをや
よそにみるらん


夕ぐれは
夏より他を
ゆく水の
いはせの森の
かげぞ凉しき
ゆふぐれは
なつよりほかを
ゆくみづの
いはせのもりの
かげぞすずしき


夏衣
ゆくてもすゞし
あづさ弓
いそべの山の
松のしたかぜ
なつころも
ゆくてもすゞし
あづさゆみ
いそべのやまの
まつのしたかぜ


折りはへて
いまこゝになく
時鳥
きよく凉しき
聲の色かな
をりはへて
いまここになく
ほととぎす
きよくすずしき
こゑのいろかな


夕月夜
かげろふ窓は
凉しくて
軒のあやめに
風わたる見ゆ
ゆふつきよ
かげろふまどは
すずしくて
のきのあやめに
かぜわたるみゆ


早苗とる
田面の水の
淺みどり
すゞしきいろに
山風ぞ吹く
さなへとる
たおものみづの
あさみどり
すずしきいろに
やまかぜぞふく


夕日さす
山田のはらを
見渡せば
杉の木蔭に
早苗とるなり
ゆふひさす
やまだのはらを
みわたせば
すぎのこかげに
さなへとるなり
Огляделся:
На равнине, где рисовые поля
Освещены вечерним солнцем,
В тени криптомерий
Собирают рисовую рассаду...
Примерный перевод

小山田や
早苗の末に
風みえて
行くて凉しき
すぎの下みち
をやまだや
さなへのすゑに
かぜみえて
ゆくてすずしき
すぎのしたみち
На маленьких горных полях
По верхушкам кустиков риса
Видно, что дует ветер,
Так здорово идти
В прохладе в тени криптомерий.
Примерный перевод

五月雨の
晴間待ち出づる
月影に
軒のあやめの
露ぞ凉しき
さみだれの
はれままちいづる
つきかげに
のきのあやめの
つゆぞすずしき


松の上に
月の姿も
見えそめて
凉しくむかふ
夕ぐれのやま
まつのうへに
つきのすがたも
みえそめて
すずしくむかふ
ゆふぐれのやま


雨晴るゝ
軒の雫に
かげ見えて
あやめにすがる
夏の夜の月
あめはるる
のきのしずくに
かげみえて
あやめにすがる
なつのよのつき


茂りあふ
庭の梢を
吹き分けて
風に洩りくる
月のすゞしさ
しげりあふ
にはのこずゑを
ふきわけて
かぜにもりくる
つきのすずしさ


うたゝねに
凉しき影を
片しきて
簾は月の
へだてともなし
うたたねに
すずしきかげを
かたしきて
すだれはつきの
へだてともなし


はしちかみ
轉寢ながら
更くる夜の
月の影しく
床ぞ凉しき
はしちかみ
うたたねながら
ふくるよの
つきのかげしく
とこぞすずしき


山水の
岩洩る音も
さ夜ふけて
木の間の月の
影ぞすゞしき
やまみづの
いはもるおとも
さよふけて
このまのつきの
かげぞすずしき
И звук воды,
Что меж камней стекает с гор,
И лунный свет,
В сени деревьев, в темноте,
Так освежают!
Примерный перевод
Чувствуется прохлада
夏の夜は
岩がき清水
月冴えて
むすべばとくる
氷なりけり
なつのよは
いはがきしみづ
つきさえて
むすべばとくる
こほりなりけり


宵のまに
暫し漂ふ
雲間より
待ち出でゝ見れば
明くる月影
よひのまに
しばしただよふ
くもまより
まちいでてみれば
あくるつきかげ


夕立の
風にわかれて
行く雲に
後れてのぼる
山の端のつき
ゆふだちの
かぜにわかれて
ゆくくもに
おくれてのぼる
やまのはのつき


まだ宵の
月待つとても
明けにけり
短き夢の
結ぶともなく
まだよひの
つきまつとても
あけにけり
みぢかきゆめの
むすぶともなく


月や出づる
星の光の
變るかな
凉しきかぜの
夕やみのそら
つきやいづる
ほしのひかりの
かはるかな
すずしきかぜの
ゆふやみのそら
То ль вышла луна?
Или свет звёзд
Стал каким-то иным?..
Но в ночной темноте
Ветер такой прохладный.
Примерный перевод

すゞみつる
數多の宿も
靜まりて
夜更けて白き
道のべの月
すずみつる
あまたのやども
しづまりて
よふけてしらき
みちのべのつき
Спала жара,
И во многих домах
Теперь тишина,
Стемнела ночь, и над дорогой
Сияет белая луна!
Примерный перевод
* Все, изнурённые жарой, спят?
星多み
晴れたる空は
色濃くて
吹くとしもなき
風ぞ凉しき
ほしおほみ
はれたるそらは
いろこくて
ふくとしもなき
かぜぞすずしき


夏の夜の
侘しき事は
夢をだに
見る程もなく
明くるなりけり
なつのよの
わびしきことは
ゆめをだに
みるほどもなく
あくるなりけり


古への
野寺のかゞみ
跡絶えて
飛ぶ火は夜半の
螢なりけり
いにしへの
のてらのかがみ
あとたえて
とぶひはよはの
ほたるなりけり


底清き
玉江の水に
とぶ螢
もゆるかげさへ
すゞしかりけり
そこきよき
たまえのみづに
とぶほたる
もゆるかげさへ
すずしかりけり


月うすき
庭の眞清水
音澄みて
みぎはの螢
かげみだるなり
つきうすき
にはのましみづ
おとすみて
みぎはのほたる
かげみだるなり


池水は
風もおとせで
蓮葉の
うへこす玉は
ほたるなりけり
いけみづは
かぜもおとせで
はちすはの
うへこすたまは
ほたるなりけり


凉しやと
風の便りを
尋ぬれば
茂みに靡く
野邊のさゆりば
すずしやと
かぜのたよりを
たづぬれば
しげみになびく
のべのさゆりば


片岡の
棟なみより
吹く風に
かつ〴〵そゝぐ
ゆふだちの雨
かたをかの
あふちなみより
ふくかぜに
かつがつそゝぐ
ゆふだちのあめ


衣手に
凉しき風を
さきだてゝ
曇りはじむる
ゆふだちの空
ころもでに
すずしきかぜを
さきだてて
くもりはじむる
ゆふだちのそら


外山には
夕立すらし
立ちのぼる
雲よりあまる
稻妻のかげ
とやまには
ゆふだちすらし
たちのぼる
くもよりあまる
いなつまのかげ


行きなやみ
照る日苦しき
山道に
ぬるともよしや
夕立の雨
ゆきなやみ
てるひくるしき
やまみちに
ぬるともよしや
ゆふだちのあめ


虹のたつ
麓の杉は
雲に消えて
峯より晴るゝ
夕だちのあめ
にじのたつ
ふもとのすぎは
くもにきえて
みねよりはるる
ゆふだちのあめ


降りよわる
雨を殘して
風はやみ
よそになり行く
夕立の雲
ふりよわる
あめをのこして
かぜはやみ
よそになりゆく
ゆふだちのくも


夕立の
雲吹きおくる
おひ風に
木末のつゆぞ
また雨と降る
ゆふだちの
くもふきおくる
おひかぜに
きすゑのつゆぞ
またあめとふる


夕立の
雲飛びわくる
白鷺の
つばさにかけて
晴るゝ日の影
ゆふだちの
くもとびわくる
しらさぎの
つばさにかけて
はるるひのかげ


月うつる
まさごの上の
にはたづみ
跡まで凉し
夕だちの雨
つきうつる
まさごのうへの
にはたづみ
あとまですずし
ゆふだちのあめ


更に又
日影うつろふ
竹の葉に
凉しさ見ゆる
ゆふだちの跡
さらにまた
ひかげうつろふ
たけのはに
すずしさみゆる
ゆふだちのあと


山ふかみ
雲消えなばと
思ひしに
又道絶ゆる
やどの夏ぐさ
やまふかみ
くもきえなばと
おもひしに
またみちたゆる
やどのなつぐさ


暮れはつる
梢に蝉は
聲やみて
やゝかげ見ゆる
月ぞ凉しき
くれはつる
こずゑにせみは
こゑやみて
ややかげみゆる
つきぞすずしき


空晴れて
梢色濃き
月の夜の
かぜにおどろく
せみの一こゑ
そらはれて
こずゑいろこき
つきのよの
かぜにおどろく
せみのひとこゑ


鳴きすさぶ
隙かときけば
遠近に
やがて待ちとる
蝉の諸聲
なきすさぶ
ひまかときけば
をちこちに
やがてまちとる
せみのもろごゑ


鳴く蝉の
聲やむ杜に
吹く風の
凉しきなべに
日も暮れぬなり
なくせみの
こゑやむもりに
ふくかぜの
すずしきなべに
ひもくれぬなり


夕附日
梢によわく
鳴く蝉の
はやまのかげは
今ぞすゞしき
ゆふづくひ
こずゑによわく
なくせみの
はやまのかげは
いまぞすずしき


雨晴れて
空ふく風に
鳴く蝉の
聲もみだるゝ
もりの下つゆ
あめはれて
そらふくかぜに
なくせみの
こゑもみだるる
もりのしたつゆ


芦の葉に
隱れて住めば
難波なる
こやの夏こそ
凉しかりけれ
あしのはに
かくれてすめば
なにはなる
こやのなつこそ
すずしかりけれ


夏山の
茂みが志たに
瀧落ちて
ふもとすゞしき
水の音かな
なつやまの
しげみがしたに
たきおちて
ふもとすずしき
みづのおとかな


吹分くる
梢の月は
かげふけて
すだれにすさぶ
風ぞ凉しき
ふきわくる
こずゑのつきは
かげふけて
すだれにすさぶ
かぜぞすずしき


みだれ芦の
下葉なみより
行く水の
音せぬ波の
色ぞ凉しき
みだれあしの
したばなみより
ゆくみづの
おとせぬなみの
いろぞすずしき


風通ふ
山松がねの
夕すゞみ
水のこゝろも
くみてこそ知れ
かぜかよふ
やままつがねの
ゆふすずみ
みづのこころも
くみてこそしれ


夏の日の
夕影おそき
道のべに
雲一むらの
志たぞすゞしき
なつのひの
ゆふかげおそき
みちのべに
くもひとむらの
したぞすずしき
На дороге,
В лучах заходящего
Летнего солнца,
Под тучкой
Так прохладно!
Примерный перевод

日の影は
竹より西に
へだゝりて
夕風すゞし
庭のくさむら
ひのかげは
たけよりにしに
へだだりて
ゆふかぜすずし
にはのくさむら


山川の
みなそこきよき
夕波に
靡く玉藻ぞ
見るもすゞしき
やまかはの
みなそこきよき
ゆふなみに
なびくたまもぞ
みるもすずしき


山もとや
木の志ためぐる
小車の
簾うごかす
風ぞすゞしき
やまもとや
このしためぐる
こくるまの
すだれうごかす
かぜぞすずしき


もりかぬる
月はすくなき
木の下に
夜深き水の
音ぞ凉しき
もりかぬる
つきはすくなき
このしたに
よふかきみづの
おとぞすずしき


苔青き
山の岩根の
松かぜに
すゞしくすめる
みづの色かな
こけあをき
やまのいはねの
まつかぜに
すずしくすめる
みづのいろかな


夏深き
峯の松が枝
風こえて
月かげすゞし
ありあけのやま
なつふかき
みねのまつがえ
かぜこえて
つきかげすずし
ありあけのやま


松に吹く
風も凉しき
山陰に
秋おぼえたる
日ぐらしのこゑ
まつにふく
かぜもすずしき
やまかげに
あきおぼえたる
ひぐらしのこゑ


御祓する
河瀬の浪の
白ゆふは
秋をかけてぞ
凉しかりける
みそぎする
かはせのなみの
しらゆふは
あきをかけてぞ
すずしかりける


なにはがた
芦のかりねの
夢さめて
袖に凉しき
みじかよの月
なにはがた
あしのかりねの
ゆめさめて
そでにすずしき
みじかよのつき


みじか夜の
月をばめでじ
あぢきなく
かたぶきやすき
影もうらめし
みじかよの
つきをばめでじ
あぢきなく
かたぶきやすき
かげもうらめし


明ぬるか
はや影うすし
夏衣
かとりのうらの
みじかよの月
あけぬるか
はやかげうすし
なつころも
かとりのうらの
みじかよのつき


夏がりの
玉江の芦の
よもすがら
待出る月は
ありあけの空
なつがりの
たまえのあしの
よもすがら
まいづるつきは
ありあけのそら


夏の日の
入ぬる磯の
松がねに
夕浪かけて
風ぞ凉しき
なつのひの
いりぬるいその
まつがねに
ゆふなみかけて
かぜぞすずしき


月夜には
あらそひかねて
むば玉の
闇ぞ螢の
光なりける
つきよには
あらそひかねて
むばたまの
やみぞほたるの
ひかりなりける


あしま行
野澤の螢
たえ〴〵に
光みえさす
夕闇の空
あしまゆく
のさはのほたる
たえだえに
ひかりみえさす
ゆふやみのそら


夏草の
しげみが下の
埋水
ありとしらせて
行ほたるかな
なつくさの
しげみがしたの
うもれみづ
ありとしらせて
ゆくほたるかな


春日のや
霜に朽にし
冬草の
又もえ出て
とぶほたるかな
かすがのや
しもにくちにし
ふゆくさの
またもえいでて
とぶほたるかな


もえあまる
あしの忍びの
思故
こやに夜更て
飛螢かな
もえあまる
あしのしのびの
おもひゆゑ
こやによふけて
とぶほたるかな


飛螢
もえずばいかで
身にあまる
思有とも
よそにしらまし
とぶほたる
もえずばいかで
みにあまる
おもひありとも
よそにしらまし


茂りあふ
櫻が下の
夕すゞみ
春はうかりし
風ぞまたるゝ
しげりあふ
さくらがしたの
ゆふすずみ
はるはうかりし
かぜぞまたるる


せきとむる
いは井のし水
底淸み
夏のよそなる
松の下陰
せきとむる
いはゐのしみづ
そこきよみ
なつのよそなる
まつのしたかげ


ふるほどは
結びもあへで
夕立の
跡の草葉に
しげき露哉
ふるほどは
むすびもあへで
ゆふだちの
あとのくさばに
しげきつゆかな


たがみそぎ
夕浪かけて
川の瀬の
あさの葉ながし
風ぞ凉しき
たがみそぎ
ゆふなみかけて
かはのせの
あさのはながし
かぜぞすずしき


重ねても
すずしかりけり
夏衣
薄きたもとに
宿る月影
かさねても
すずしかりけり
なつころも
うすきたもとに
やどるつきかげ
Летнее платье — тонко,
А коль надеть их несколько,
Чтобы не замёрзнуть, — согреют.
Но отражение луны на рукавах, сложенных
вместе,
Холодно, как прежде!
* Одна из заключительных песен летнего цикла, отображающая конец лета, в данном случае — холодные ночи. Отражение луны на рукавах — постоянный образ.
夏衣
かたへすずしく
なりぬなり
夜やふけぬらむ
ゆきあひの空
なつころも
かたへすずしく
なりぬなり
よやふけぬらむ
ゆきあひのそら
Почувствовал я:
Бок один замёрз.
Наверно, за полночь,
И на небесных тропах
Уж повстречались лето с осенью.
* Песня-прототип — танка Мицунэ из «Кокинсю»:
На небесной тропе,
Где встречаются
Лето и осень,
Лишь с одной стороны, наверное,
Веет холодом ветер.

夏ごろも
立田河原の
柳影
すゞみにきつゝ
ならすころかな
なつごろも
たつたかはらの
やなぎかげ
すずみにきつつ
ならすころかな


夏ごろも
立ち寄る袖の
凉しさに
掬ばでかへる
山の井の水
なつごろも
たちよるそでの
すずしさに
すくばでかへる
やまのゐのみづ


さのみやは
やまゐの清水
すずしとて
かへさもしらず
日を暮すべき
さのみやは
やまゐのしみづ
すずしとて
かへさもしらず
ひをくらすべき


松がねの
いはもる清水
せきとめて
むすばぬさきに
風ぞ涼しき
まつがねの
いはもるしみづ
せきとめて
むすばぬさきに
かぜぞすずしき


ゆふかけて
波のしめゆふ
河社
秋よりさきに
涼しかりけり
ゆふかけて
なみのしめゆふ
かはやしろ
あきよりさきに
すずしかりけり


道のべに
清水ながるる
柳かげ
しばしとてこそ
たちとまりつれ
みちのべに
しみづながるる
やなぎかげ
しばしとてこそ
たちとまりつれ
Возле дороги
Бежит чистый ручей, —
Под сенью ивы
Я устроил привал,
Хоть хотел лишь на миг задержаться.
Примерный перевод
Проверить?!
道のべの
木陰の清水
むすぶとて
しばし凉まぬ
旅人ぞなき
みちのべの
こかげのしみづ
むすぶとて
しばしすずまぬ
たびひとぞなき
Нет путников тех,
Кто насладился б прохладой
Хоть немного,
Чистой воды зачерпнув
У дороги под сенью деревьев.
Примерный перевод

かけふかき
このしたかせの
ふきくれは
なつのうちなから
あきそきにける
かけふかき
このしたかせの
ふきくれは
なつのうちなから
あきそきにける


凉しさに
あかずもある哉
石間行く
水に影見る
夏のよの月
すずしさに
あかずもあるかな
いしまゆく
みづにかげみる
なつのよのつき
В прохладе
Не может наскучить
Отраженье
В воде, бегущей меж камней,
Луны летней ночи.
Примерный перевод

詠むれば
すゞしかりけり
夏の夜の
月の桂に
風や吹くらむ
ながむれば
すずしかりけり
なつのよの
つきのかつらに
かぜやふくらむ
Прохладно
От одного лишь вида!
Летней ночью
В лунном лавре,
Наверное, дует ветер!
Примерный перевод
* вида луны
手にならす
扇の風も
忘られて
閨もる月の
かげぞすゞしき
てにならす
あふぎのかぜも
わすられて
ねやもるつきの
かげぞすずしき
Забыт
И ветерок от веера,
Привычного руке:
Лучи лунного света,
Что проникает в спальню, прохладны!
Примерный перевод

夕立の
晴れ行く峰の
木の間より
入日すゞしき
露の玉ざゝ
ゆふだちの
はれゆくみねの
このまより
いりひすずしき
つゆのたまざさ


露ふかき
庭のあさぢに
風過ぎて
名殘すゞしき
夕立のそら
つゆふかき
にはのあさぢに
かぜすぎて
なごりすずしき
ゆふだちのそら
По густой росе
На кустарниках в саду
Пролетел ветер:
Прохладная память
О дождливом небе.
Примерный перевод

夏深き
板井の水の
いはまくら
秋風ならぬ
あかつきぞなき
なつふかき
いたゐのみづの
いはまくら
あきかぜならぬ
あかつきぞなき


そむきえて
心もかぜも
凉しさの
岩のかけぢを
思ひこそやれ
そむきえて
こころもかぜも
すずしさの
いはのかけぢを
おもひこそやれ


みそぎする
いくしのしでに
風すぎて
すずしくなりぬ
水無月の空
みそぎする
いくしのしでに
かぜすぎて
すずしくなりぬ
みなづきのそら


みねの松
入日すずしき
やまかげの
すそのの小田に
早苗とるなり
みねのまつ
いりひすずしき
やまかげの
すそののをだに
さなへとるなり


山ざとは
そとものまくず
はをしげみ
うらふきかへす
秋をまつかな
やまざとは
そとものまくず
はをしげみ
うらふきかへす
あきをまつかな
В горном селенье,
Там, где густеет плющ
На задворках хижин,
Листья гнутся изнанкой вверх..
Осени ждать недолго!

山里は
そとものまくず
葉をしげみ
うら吹きかへす
秋をこそ待て
やまざとは
そとものまくず
はをしげみ
うらふきかへす
あきをこそまて


はま風に
すずしくなびく
夏草の
野島がさきに
秋はきにけり
はまかぜに
すずしくなびく
なつくさの
のじまがさきに
あきはきにけり


此ころは
なかるゝ水を
せき入て
木陰すゝしき
中河の宿
このころは
なかるるみづを
せきいりて
こかげすすしき
なかかはのやど


下潛る
水に厭きこそ
通ふらし
掬ぶ泉の
手さへ涼しき
したくぐる
みづにあきこそ
かよふらし
むすぶいづみの
てさへすずしき


月影も
夏の夜わたる
泉川
河風涼し
水のしら波
つきかげも
なつのよわたる
いづみかは
かはかぜすずし
みづのしらなみ


夕附日
よそにくれぬる
木の間より
さしくる月の
影そ涼しき
ゆふづくひ
よそにくれぬる
このまより
さしくるつきの
かげそすずしき


天の原
雲ゐは夏の
よそなれや
みれは涼しき
月の影かな
あまのはら
くもゐはなつの
よそなれや
みれはすずしき
つきのかげかな


よにかくる
すたれに風は
吹いれて
庭しろくなる
月そすゝしき
よにかくる
すたれにかぜは
ふきいれて
にはしろくなる
つきそすすしき


庭のうへの
水音近き
うたゝねに
枕すゝしき
月をみるかな
にはのうへの
みづおとちかき
うたたねに
まくらすすしき
つきをみるかな


風にもる
木の間の月も
涼しきは
松原高き
山陰のやと
かぜにもる
このまのつきも
すずしきは
まつはらたかき
やまかげのやと


枝にもる
朝日の影の
すくなさに
すゝしさふかき
竹のおくかな
えだにもる
あさひのかげの
すくなさに
すすしさふかき
たけのおくかな

*3すくなきにイ
夕されは
波こす池の
はちす葉に
玉ゆりすふる
風の涼しさ
ゆふされば
なみこすいけの
はちすばに
たまゆりすふる
かぜのすずしさ


河風に
うはけふかせて
ゐる鷺の
涼しくみゆる
柳はらかな
かはかぜに
うはけふかせて
ゐるさぎの
すずしくみゆる
やなぎはらかな


水無月の
てる日といへと
我宿の
ならの葉風は
涼しかりけり
みなづきの
てるひといへと
わがやどの
ならのはかぜは
すずしかりけり


陰ふかき
外面のならの
夕すゝみ
ひと木かもとに
秋風そふく
かげふかき
そとものならの
ゆふすすみ
ひときかもとに
あきかぜそふく


秋ちかき
谷の松風
をとたてゝ
ゆふ山すゝし
岩のした水
あきちかき
たにのまつかぜ
をとたてて
ゆふやますすし
いはのしたみづ


夏山の
みとりの木々を
吹かへし
夕立風の
袖にすゝしき
なつやまの
みとりのきぎを
ふきかへし
ゆふだちかぜの
そでにすすしき


山風の
ふくとしもなき
夕暮も
このした陰は
猶そ涼しき
やまかぜの
ふくとしもなき
ゆふぐれも
このしたかげは
なほそすずしき


此比そ
とふへかりける
山さとの
水せきとむる
松のした陰
このころそ
とふへかりける
やまさとの
みづせきとむる
まつのしたかげ


松陰や
木のしたふかき
岩間より
涼しくつたふ
山川の水
まつかげや
このしたふかき
いはまより
すずしくつたふ
やまかはのみづ


岩ねつたふ
水のひゝきは
そこに有て
涼しさ高き
松風の山
いはねつたふ
みづのひゝきは
そこにありて
すずしさたかき
まつかぜのやま


夏山の
岩かねきよく
水落て
あたりの草の
色も涼しき
なつやまの
いはかねきよく
みづおちて
あたりのくさの
いろもすずしき


茂りあふ
木のしたつゝく
み山ちは
分ゆく袖も
涼しかりけり
しげりあふ
このしたつつく
みやまちは
わけゆくそでも
すずしかりけり


谷川の
すゝしきをとを
聞なへに
山した風も
松にふくなり
たにかはの
すすしきをとを
きくなへに
やましたかぜも
まつにふくなり


ふく風の
竹になるよは
秋きぬと
おとろくはかり
袖に涼しき
ふくかぜの
たけになるよは
あききぬと
おとろくはかり
そでにすずしき


松風も
すゝしき程に
ふきかへて
さ夜更にけり
谷川の音
まつかぜも
すすしきほどに
ふきかへて
さよふけにけり
たにかはのおと


日晩の
声きく杜の
した草に
秋まつ露の
結ひそめぬる
ひぐらしの
こゑきくもりの
したくさに
あきまつつゆの
むすひそめぬる


影うつす
庭のまし水
結ふ手の
雫も月も
袖に涼しき
かげうつす
にはのましみづ
むすふての
しずくもつきも
そでにすずしき


風のをとに
すゝしき声を
あはすなり
夕山陰の
谷の下水
かぜのをとに
すすしきこゑを
あはすなり
ゆふやまかげの
たにのしたみづ


ほかにのみ
夏をはしるや
滝つせの
あたりは秋の
むらさめのこゑ
ほかにのみ
なつをはしるや
たきつせの
あたりはあきの
むらさめのこゑ


さ夜更て
岩もる水の
音きけは
涼しくなりぬ
うたゝねの床
さよふけて
いはもるみづの
おときけは
すずしくなりぬ
うたたねのとこ


あしの葉に
ひと夜の秋を
吹こして
けふより涼し
池の夕風
あしのはに
ひとよのあきを
ふきこして
けふよりすずし
いけのゆふかぜ


風わたる
河せの波の
夏はらへ
夕暮かけて
袖そ涼しき
かぜわたる
かはせのなみの
なつはらへ
ゆふぐれかけて
そでそすずしき


わたのはら
朝みつしほの
いやましに
すずしくなりぬ
秋の初風
わたのはら
あさみつしほの
いやましに
すずしくなりぬ
あきのはつかぜ


夜をかけて
遠方めくる
夕立に
こなたの空は
月そ涼しき
よをかけて
とほかためくる
ゆふだちに
こなたのそらは
つきそすずしき


まつがねの
いはたの岸の
夕すずみ
君があれなと
おもほゆるかな
まつがねの
いはたのきしの
ゆふすずみ
きみがあれなと
おもほゆるかな


松かねの
いはたの岸の
夕すゝみ
君かあれなと
おもほゆるかな
まつかねの
いはたのきしの
ゆふすすみ
きみかあれなと
おもほゆるかな


水結ふ
夕よりなを
すゝしきは
氷室にむかふ
杉の下陰
みづむすふ
ゆふべよりなを
すすしきは
ひむろにむかふ
すぎのしたかげ


山川の
おなし流れも
ときは木の
陰ゆく水は
色そ涼しき
やまかはの
おなしながれも
ときはこの
かげゆくみづは
いろそすずしき


にこりなき
泉にうつる
月をみて
すむらん人の
心をそくむ
にこりなき
いづみにうつる
つきをみて
すむらんひとの
こころをそくむ


杣川の
山陰くたす
いかたしよ
いかゝうきねの
床はすゝしき
そまかはの
やまかげくたす
いかたしよ
いかかうきねの
とこはすすしき


山陰や
田子の小笠を
吹く風も
すゞしき暮に
早苗取るなり
やまかげや
たごのをかさを
ふくかぜも
すずしきくれに
さなへとるなり


暮れかゝる
外面の小田の
村雨に
凉しさそへて
とる早苗哉
くれかかる
そとものをだの
むらさめに
すずしさそへて
とるさなへかな


村雨は
晴行くあとの
山陰に
露ふきおとす
かぜのすゞしさ
むらさめは
はれゆくあとの
やまかげに
つゆふきおとす
かぜのすずしさ


こえはてば
都も遠く
なりぬべし
關のゆふ風
志ばし凉まむ
こえはてば
みやこもとほく
なりぬべし
せきのゆふかぜ
しばしすずまむ


杉立てる
外面の谷に
水おちて
早苗すゞしき
山のしたかげ
すぎたてる
そとものたにに
みづおちて
さなへすずしき
やまのしたかげ


風をいたみ
蓮のうき葉に
宿占めて
凉しき玉に
蛙なくなり
かぜをいたみ
はすのうきはに
やどしめて
すずしきたまに
かはづなくなり


掬ぶ手の
あかぬ志づくも
影見えて
石井の水に
飛ぶ螢かな
むすぶての
あかぬしづくも
かげみえて
いしゐのみづに
とぶほたるかな


一むらは
やがて過ぎぬる
夕立の
猶くも殘る
空ぞすゞしき
ひとむらは
やがてすぎぬる
ゆふだちの
なほくものこる
そらぞすずしき


蝉の羽の
衣に秋を
まつら潟
ひれふる山の
くれぞすゞしき
せみのはの
ころもにあきを
まつらかた
ひれふるやまの
くれぞすずしき


涼しさは
いづれともなし
松風の
聲のうちなる
山の瀧つ瀬
すずしさは
いづれともなし
まつかぜの
こゑのうちなる
やまのたきつせ


靜かなる
心の中や
松かげの
みづよりも猶
すゞしかるらむ
しづかなる
こころのなかや
まつかげの
みづよりもなほ
すずしかるらむ


凉しくば
行きても汲まむ
水草ゐる
板井の清水
里遠くとも
すずしくば
ゆきてもくまむ
みくさゐる
いたゐのしみづ
さととほくとも


夕されば
志のゝ小笹を
吹く風の
まだきに秋の
景色なる哉
ゆふされば
しののをささを
ふくかぜの
まだきにあきの
けしきなるかな
Настаёт вечер,
И по листьям тростников
Дует ветер...
Совсем скоро это будет
Осенним пейзажем.

夏山の
楢の葉そよき
吹風に
入日涼しき
ひくらしのこゑ
なつやまの
ならのはそよき
ふくかぜに
いりひすずしき
ひくらしのこゑ


なく蝉の
はにをく露に
秋かけて
木陰涼しき
夕暮のこゑ
なくせみの
はにをくつゆに
あきかけて
こかげすずしき
ゆふぐれのこゑ


夕すゝみ
身にしむはかり
成にけり
秋の気しきの
森の下かせ
ゆふすすみ
みにしむはかり
なりにけり
あきのけしきの
もりのしたかせ


津の国の
なにはの里の
夕すゝみ
あしのしのひに
秋風そ吹
つのくにの
なにはのさとの
ゆふすすみ
あしのしのひに
あきかぜそふく


夕されは
しのゝをさゝを
吹風の
またきに秋の
気しきなる哉
ゆふされは
しののをささを
ふくかぜの
またきにあきの
けしきなるかな


夕立の
また過やらぬ
みなと江の
あしの葉そよく
風の涼しさ
ゆふだちの
またすぎやらぬ
みなとえの
あしのはそよく
かぜのすずしさ


夏はつる
暁かたの
まきの戸は
明ての後そ
涼しかりける
なつはつる
あかつきかたの
まきのとは
あけてののちそ
すずしかりける


かはあいや
まきのすそやま
いしたてて
そま人いかに
涼しかるらん
かはあいや
まきのすそやま
いしたてて
そまひといかに
すずしかるらん