昨日まで
霞みし物を
津の國の
難波わたりの
夏のあけぼの
きのふまで
かすみしものを
つのくにの
なにはわたりの
なつのあけぼの
До вчерашнего дня
Дымкой затянута вечно была
В стране Цу
Переправа у Нанива
Летним рассветом!
こゝろさへ
やがてぞくらす
春かすみ
かすみわけつる
曙のそら
こころさへ
やがてぞくらす
はるかすみ
かすみわけつる
あけぼののそら
時鳥
雲の上より
かたらひて
とはぬになのる
あけぼのゝ空
ほととぎす
くものうへより
かたらひて
とはぬになのる
あけぼのゝそら
ほとゝぎす
聞くともなしに
足引の
山路に歸る
明ぼのゝ聲
ほととぎす
きくともなしに
あしびきの
やまぢにかへる
あけぼののこゑ
たとふべき
かたこそなけれ
春霞
しきつの浦の
あけぼのの空
たとふべき
かたこそなけれ
はるかすみ
しきつのうらの
あけぼののそら
人とはば
見ずとやいはむ
玉津嶋
かすむ入江の
春のあけぼの
ひととはば
みずとやいはむ
たまつしま
かすむいりえの
はるのあけぼの
ほとゝぎす
聲もたかねの
横雲に
鳴き捨てゝ行く
曙のそら
ほととぎす
こゑもたかねの
よこぐもに
なきすててゆく
あけぼののそら
春立つと
霞みにけりな
久堅の
天のいは戸の
あけぼのゝ空
はるたつと
かすみにけりな
ひさかたの
あまのいはとの
あけぼののそら
Пришла весна лишь только:
Весенней дымкой затянуло
Извечных небес
Каменная дверь открылась
В предрассветном небе.
立ちなるゝ
飛火の野守
おのれさへ
霞にたどる
春の明ぼの
たちなるる
とぶひののもり
おのれさへ
かすみにたどる
はるのあけぼの
雲居より
長閑にかすむ
山の端の
あらはれ渡る
春の明ぼの
くもゐより
のどかにかすむ
やまのはの
あらはれわたる
はるのあけぼの
Из колодца облаков
Ровно затянутые дымкой
Склоны гор
Проявились, проходит
Весенний рассвет!
神代より
かすみもいくへ
隔てきぬ
山田の原の
春の明ぼの
かみよより
かすみもいくへ
へだてきぬ
やまだのはらの
はるのあけぼの
露にふす
のべの千草の
曙に
おきぬれて行く
さを鹿のこゑ
つゆにふす
のべのちくさの
あけぼのに
おきぬれてゆく
さをしかのこゑ
今はまた
霞へだてゝ
おもふかな
大うち山の
春のあけぼの
いまはまた
かすみへだてて
おもふかな
おほうちやまの
はるのあけぼの
山の端の
みえぬを老に
喞てども
霞みにけりな
春の明ぼの
やまのはの
みえぬをおいに
かこてども
かすみにけりな
はるのあけぼの
住吉の
松の嵐も
かすむなり
とほざとをのゝ
春のあけぼの
すみよしの
まつのあらしも
かすむなり
とほざとをのゝ
はるのあけぼの
山のはも
空も一つに
みゆる哉
これやかすめる
春の明ぼの
やまのはも
そらもひとつに
みゆるかな
これやかすめる
はるのあけぼの
月ならで
ながむる物は
山のはに
よこ雲わたる
春の明ぼの
つきならで
ながむるものは
やまのはに
よこくもわたる
はるのあけぼの
いつしかと
外山のかすみ
立ち歸り
けふあらたまる
春の曙
いつしかと
とやまのかすみ
たちかへり
けふあらたまる
はるのあけぼの
吉野山
ことしも雪の
ふる里に
松の葉しろき
春のあけぼの
よしのやま
ことしもゆきの
ふるさとに
まつのはしろき
はるのあけぼの
河むかひ
まだ水暗き
あけぼのに
出づるか舟の
音ぞ聞ゆる
かはむかひ
まだみづくらき
あけぼのに
いづるかふねの
おとぞきこゆる
なにはとの
曙かすむ
沖つ浪
こぎ出る舟の
行衞しらずも
なにはとの
あけぼのかすむ
おきつなみ
こぎいづるふねの
ゆくへしらずも
Порт Нанива
На рассвете в дымке:
В открытом море
Идущий корабль
Скрылся куда-то...
みかさ山
嶺もはるかに
かすむなり
春日の里の
春の明ほの
みかさやま
みねもはるかに
かすむなり
かすがのさとの
はるのあけほの
松原の
みえしやいつこ
霞たつ
みほの奥津の
春の曙
まつはらの
みえしやいつこ
かすみたつ
みほのおきつの
はるのあけぼの
花の色を
それかとそ思ふ
乙女子か
袖ふる山の
春のあけほの
はなのいろを
それかとそおもふ
をとめこか
そでふるやまの
はるのあけほの
横雲は
峰にわかれて
咲花の
色もまかはぬ
明ほのゝ空
よこぐもは
みねにわかれて
さくはなの
いろもまかはぬ
あけほののそら
何となく
さへつる山の
鳥のねも
物のあはれは
春の明ほの
なにとなく
さへつるやまの
とりのねも
もののあはれは
はるのあけほの
思ひそめき
四の時には
花の春
はるのうちにも
明ほのゝ空
おもひそめき
よつのときには
はなのはる
はるのうちにも
あけほののそら
かすみかは
花鶯に
とちられて
春にこもれる
宿の明ほの
かすみかは
はなうぐひすに
とちられて
はるにこもれる
やどのあけほの
哀しはし
この時過て
なかめはや
花の軒はの
匂ふあけほの
あはれしはし
このときすぎて
なかめはや
はなののきはの
にほふあけほの
春はたゝ
くもれる空の
曙に
花はとをくて
見るへかりけり
はるはたた
くもれるそらの
あけぼのに
はなはとをくて
みるへかりけり
ま萩原
露にうつろふ
月の色も
花になりゆく
明ほのゝ庭
まはぎはら
つゆにうつろふ
つきのいろも
はなになりゆく
あけほののには
吹しほる
四方の草木の
うら葉見えて
風にしらめる
秋の明ほの
ふきしほる
よものくさきの
うらはみえて
かぜにしらめる
あきのあけほの
かりにきて
たつ秋霧の
明ほのに
かへる名残も
ふかくさの里
かりにきて
たつあききりの
あけほのに
かへるなごりも
ふかくさのさと
浦松の
葉こしにおつる
月影に
千鳥つまとふ
須磨の明ほの
うらまつの
はこしにおつる
つきかげに
ちとりつまとふ
すまのあけほの
山あらしの
杉の葉はらふ
明ほのに
むら〳〵なひく
雪のしら雲
やまあらしの
すぎのははらふ
あけほのに
むらむらなひく
ゆきのしらくも
ふりにける
跡に心の
とゝまるは
高津の宮の
雪の明ほの
ふりにける
あとにこころの
ととまるは
たかつのみやの
ゆきのあけほの
旅人の
ともし捨たる
松の火の
煙さひしき
野路の明ほの
たびひとの
ともしすてたる
まつのひの
けぶりさひしき
のぢのあけほの
むしあけの
せとの明ほの
みるおりそ
都のことも
わすられにける
むしあけの
せとのあけほの
みるおりそ
みやこのことも
わすられにける
吹風の
花にあまきる
霞まて
うらみかねたる
春の明ほの
ふくかぜの
はなにあまきる
かすみまて
うらみかねたる
はるのあけほの
我ための
なさけとそ聞
郭公
待あかす夜の
明ほのゝ声
わがための
なさけとそきく
ほととぎす
まちあかすよの
あけほののこゑ
物ことに
思ひしとけは
跡もなし
夢さめはつる
明ほのゝそら
ものことに
おもひしとけは
あともなし
ゆめさめはつる
あけほののそら
漕ぎ出づる
入江の小舟
ほの〴〵と
浪間にかすむ
はるの曙
こぎいづる
いりえのをぶね
ほのぼのと
なみまにかすむ
はるのあけぼの
玉もかる
かたやいつくそ
霞たつ
あさかの浦の
春の明ほの
たまもかる
かたやいつくそ
かすみたつ
あさかのうらの
はるのあけほの
藻しほやく
烟も波も
うづもれて
霞のみ立つ
春のあけぼの
もしほやく
けぶりもなみも
うづもれて
かすみのみたつ
はるのあけぼの
塩かまの
浦のひかたの
あけほのに
霞にのこる
浮島の松
しほかまの
うらのひかたの
あけほのに
かすみにのこる
うきしまのまつ
みすは又
くやしからまし
みつの江の
うら島かすむ
はるの曙
みすはまた
くやしからまし
みつのえの
うらしまかすむ
はるのあけぼの
心あらん
人のためとや
かすむらん
難波のみつの
春の明ほの
こころあらん
ひとのためとや
かすむらん
なにはのみつの
はるのあけほの
秋風に
又こそとはめ
津の国の
生田の杜の
はるのあけほの
あきかぜに
またこそとはめ
つのくにの
いくたのもりの
はるのあけほの
今更に
かすまずとても
難波潟
ながむる物を
春のあけぼの
いまさらに
かすまずとても
なにはかた
ながむるものを
はるのあけぼの
横雲の
空に別れて
行くかりの
名殘もこめぬ
春のあけぼの
よこぐもの
そらにわかれて
ゆくかりの
なごりもこめぬ
はるのあけぼの
これならで
何をこの世に
志のばまし
花にかすめる
春の曙
これならで
なにをこのよに
しのばまし
はなにかすめる
はるのあけぼの
なかめやる
気色そいつも
哀なる
遠山もとの
あけほのゝ空
なかめやる
けしきそいつも
あはれなる
とほやまもとの
あけほののそら
雲もみな
うす花そめに
成にけり
桜にうつる
春の明ほの
くももみな
うすはなそめに
なりにけり
さくらにうつる
はるのあけほの
くもれけふ
入あひのかねも
程とをし
たのめてかへる
春の明ほの
くもれけふ
いりあひのかねも
ほどとをし
たのめてかへる
はるのあけほの
雪ふるき
山はかすめる
色もなし
としのうちなる
春の曙
ゆきふるき
やまはかすめる
いろもなし
としのうちなる
はるのあけぼの
久堅の
雲に高間の
山さくら
匂ふもよその
春の明ほの
ひさかたの
くもにたかまの
やまさくら
にほふもよその
はるのあけほの
花の色は
それともみえす
山桜
あまきる雲の
春の明ほの
はなのいろは
それともみえす
やまさくら
あまきるくもの
はるのあけほの