Весна
96
Лето
0
Осень
0
Зима
0
Любовь
1
Благопожелания
0
Странствия
0
Разлука
0
Скорбь
3
Буддийское
0
Синтоистское
1
Разное
18
Иное
0
青柳の
春とともには
絶えにけむ
また夏引の
糸はなしやは
あをやぎの
はるとともには
たえにけむ
またなつひきの
いとはなしやは


徒然と
花を見つゝぞ
暮しつる
今日をし春の
限とおもへば
つれづれと
はなをみつつぞ
くらしつる
けふをしはるの
かぎりとおもへば


遅櫻
春暮れて咲く
花なれば
のこる物から
かたみともなし
おそさくら
はるくれてさく
はななれば
のこるものから
かたみともなし


大井川
春をとゞめぬ
志がらみに
花も昨日の
瀬々の志ら波
おほゐかは
はるをとどめぬ
しがらみに
はなもきのふの
せぜのしらなみ


數ならぬ
身にはよそなる
春なれど
今日の別は
猶や慕はむ
かずならぬ
みにはよそなる
はるなれど
けふのわかれは
なほやしたはむ


明日知らぬ
命の程に
別れては
いつ逢見むと
春の行くらむ
あすしらぬ
いのちのほどに
わかれては
いつあひみむと
はるのゆくらむ


とゞまらぬ
恨も知らず
春毎に
慕ひなれたる
今日の暮かな
とどまらぬ
うらみもしらず
はるごとに
しのひなれたる
けふのくれかな


己が音の
殘るばかりや
鶯の
なれにし花の
かたみなるらむ
おのがねの
のこるばかりや
うぐひすの
なれにしはなの
かたみなるらむ


はなもみな
ちりぬるやとは
ゆく春の
ふるさとゝこそ
なりぬへらなれ
はなもみな
ちりぬるやとは
ゆくはるの
ふるさととこそ
なりぬへらなれ


花もみな
ちりぬるやとは
行く春の
ふるさととこそ
なりぬへらなれ
はなもみな
ちりぬるやとは
ゆくはるの
ふるさととこそ
なりぬへらなれ


花も皆
散りぬる宿は
行春の
故鄉とこそ
成ぬべらなれ
はなもみな
ちりぬるやどは
ゆくはるの
ふるさととこそ
なりぬべらなれ


行く春の
霞の袖を
引きとめて
志をるばかりや
恨かけまし
ゆくはるの
かすみのそでを
ひきとめて
しをるばかりや
うらみかけまし


むらさきの
糸よりかくる
藤の花
この春雨に
ほころびにけり
むらさきの
いとよりかくる
ふぢのはな
このはるさめに
ほころびにけり


たちかへり
なほ見てゆかむ
たかさごの
尾上の松に
かかる藤浪
たちかへり
なほみてゆかむ
たかさごの
おのえのまつに
かかるふぢなみ


いとはやも
暮れぬる春か
わがやどの
池の藤浪
うつろはぬまに
いとはやも
くれぬるはるか
わがやどの
いけのふぢなみ
うつろはぬまに


春をへて
さかり久しき
藤の花
おほみや人の
かざしなりけり
はるをへて
さかりひさしき
ふぢのはな
おほみやひとの
かざしなりけり


悔しくぞ
花と月とに
なれにける
弥生の空の
ありあけのころ
くやしくぞ
はなとつきとに
なれにける
やよひのそらの
ありあけのころ


みてもうし
春のわかれの
近ければ
弥生の月の
ありあけの空
みてもうし
はるのわかれの
ちかければ
やよひのつきの
ありあけのそら


今はとて
のこるかげなく
散る花の
かたもさだめず
春やゆくらむ
いまはとて
のこるかげなく
ちるはなの
かたもさだめず
はるやゆくらむ


わがものと
いかなる人の
をしむらむ
春はうき身の
ほかよりぞゆく
わがものと
いかなるひとの
をしむらむ
はるはうきみの
ほかよりぞゆく


ゆく春は
しらずやいかに
いくかへり
けふのわかれを
をしみきぬらむ
ゆくはるは
しらずやいかに
いくかへり
けふのわかれを
をしみきぬらむ


おもふとち
春の山辺に
うちむれて
そこともいはぬ
たひねしてしか
おもふとち
はるのやまへに
うちむれて
そこともいはぬ
たひねしてしか
Как хотелось бы мне
с друзьями отправиться в горы —
в вешних кущах бродить,
где-нибудь в укромной лощине
для ночлега место приметить!..

あつさゆみ
春たちしより
年月の
いるかことくも
おもほゆるかな
あつさゆみ
はるたちしより
としつきの
いるかことくも
おもほゆるかな
С той поры, как весна,
подобная луку тугому,
осенила наш край,
мне все кажется — словно стрелы,
дни и месяцы пролетают…

なきとむる
花しなけれは
うくひすも
はては物うく
なりぬへらなり
なきとむる
はなしなけれは
うくひすも
はてはものうく
なりぬへらなり
Не осталось цветов,
что мог бы он жалобной песней
удержать на ветвях, —
над последним цветком, должно быть,
соловей скорбит безутешно…

花ちれる
水のまにまに
とめくれは
山には春も
なくなりにけり
はなちれる
みつのまにまに
とめくれは
やまにははるも
なくなりにけり
Далеко я забрёл,
но везде лепестки устилают
гладь струящихся вод —
даже здесь, в урочище горном,
задержаться весна не в силах…

をしめとも
ととまらなくに
春霞
かへる道にし
たちぬとおもへは
をしめとも
ととまらなくに
はるかすみ
かへるみちにし
たちぬとおもへは
Что напрасно скорбеть!
Ничто уж весны не удержит,
коль настала пора, —
и уход её неотвратимый
осеняет сизая дымка…

こゑたえす
なけやうくひす
ひととせに
ふたたひとたに
くへき春かは
こゑたえす
なけやうくひす
ひととせに
ふたたひとたに
くへきはるかは
Пой же, пой, соловей,
разливай неумолчные трели!
Ведь в году только раз
нам весну встречать доведется —
разве дважды весна бывает?!

ととむへき
物とはなしに
はかなくも
ちる花ことに
たくふこころか
ととむへき
ものとはなしに
はかなくも
ちるはなことに
たくふこころか
В бренном мире ничто
задержать и отсрочить не в силах
увяданье цветов —
но, под стать лепесткам летящим,
все сердца объяты печалью…

けふのみと
春をおもはぬ
時たにも
立つことやすき
花のかけかは
けふのみと
はるをおもはぬ
ときたにも
たつことやすき
はなのかけかは
Даже если забыть
о том, что сегодня прощаюсь
с уходящей весной, —
и тогда легко ли покинуть
сень деревьев, еще цветущих?!

ゆかりとも
きこえぬものを
山吹の
かはつかこゑに
にほひける哉
ゆかりとも
きこえぬものを
やまぶきの
かはつかこゑに
にほひけるかな


ゆくはるの
たそかれときに
なりぬれは
うくひすのねも
くれぬへらなり
ゆくはるの
たそかれときに
なりぬれは
うくひすのねも
くれぬへらなり


はるのけふ
くるゝしるしは
うくひすの
なかすなりぬる
こゝろなりけり
はるのけふ
くるるしるしは
うくひすの
なかすなりぬる
こころなりけり


あすもくる
ときはあれとも
はなみつゝ
なれぬるけふは
をしくそありける
あすもくる
ときはあれとも
はなみつつ
なれぬるけふは
をしくそありける


散花の
もとにきつゝそ
いとゝしく
春のをしさも
まさるへらなる
ちるはなの
もとにきつつぞ
いとどしく
はるのをしさも
まさるべらなる

2イ:もとにきてこそ
3イ:くれはつる
4イ:春のをしさは
5イ:まさるへらなれ
浦ことに
さきいつる波の
はなみれは
うみには春も
暮ぬなりけり
うらことに
さきいつるなみの
はなみれは
うみにははるも
くれぬなりけり


いつとなく
櫻さけとか
をしめとも
とまらて春の
そらにゆくらん
いつとなく
さくらさけとか
をしめとも
とまらてはるの
そらにゆくらん

イ:いつこのみ
イ:櫻さくとか
來む年も
來べき春とは
知り乍ら
今日の暮るゝは
惜くぞ有ける
こむとしも
くべきはるとは
しりながら
けふのくるるは
をしくぞあける


我宿を
はるのともにし
わかるれは
はなはしたひて
うつろひにけり
わがやどを
はるのともにし
わかるれは
はなはしたひて
うつろひにけり

イ:はなもしたひて
さくらちり
卯のはなもまた
さきぬれは
こゝろさしには
はるなつもなし


イ:卯のはなもみな
君こすて
としはくれけり
たちかへり
はるさへけふに
なりにける哉
きみこすて
としはくれけり
たちかへり
はるさへけふに
なりにけるかな

イ:君みすて
イ:としはくれにき
君こずて
年はくれにき
立ちかへり
春さへ今日に
なりにける哉
きみこずて
としはくれにき
たちかへり
はるさへけふに
なりにけるかな


ともにこそ
花をもみんと
まつひとの
こぬものゆゑに
をしきはるかな


イ:花をもみめと
きみにたに
ゆかてへぬれは
ふちのはな
たそかれときも
しらすそありける
きみにたに
ゆかてへぬれは
ふちのはな
たそかれときも
しらすそありける


やへむくら
こゝろのうちに
ふかけれは
花みにゆかん
いてたちもせす
やへむくら
こころのうちに
ふかけれは
はなみにゆかん
いてたちもせす


またもこん
ときそとおもへと
たのまれぬ
我身にしあれは
をしき春かな
またもこん
ときそとおもへと
たのまれぬ
わがみにしあれは
をしきはるかな


里わかず
おなじ夕に
ゆく春を
我れぞ別れと
誰れ惜むらむ
さとわかず
おなじゆふべに
ゆくはるを
われぞわかれと
たれをしむらむ


志ひて猶
袖ぬらせとや
藤の花
春はいくかの
雨にさくらむ
しひてなほ
そでぬらせとや
ふぢのはな
はるはいくかの
あめにさくらむ


つれもなく
暮れぬる空を
別にて
行く方志らず
歸る春かな
つれもなく
くれぬるそらを
わかれにて
ゆくかたしらず
かへるはるかな


身はかくて
六十の春を
過しきぬ
としの思はむ
思出もなし
みはかくて
むそぢのはるを
すごしきぬ
としのおもはむ
おもいでもなし


聞くたびに
名殘をしくぞ
なりまさる
春くれがたの
鶯の聲
きくたびに
なごりをしくぞ
なりまさる
はるくれがたの
うぐひすのこゑ


歸る雁
しばし休らふ
方もなし
暮れゆく春や
空にしるらむ
かへるかり
しばしやすらふ
かたもなし
くれゆくはるや
そらにしるらむ


ながらへて
今いくたびと
頼まねば
老こそ春の
別なりけれ
ながらへて
いまいくたびと
たのまねば
おいこそはるの
わかれなりけれ


神まつる
卯月の後と
契りおきて
我さへいそぐ
春の暮かな
かみまつる
うつきののちと
ちぎりおきて
われさへいそぐ
はるのくれかな


青柳の
糸も皆こそ
絶えにけれ
春の殘りは
今日ばかりとて
あをやぎの
いともみなこそ
たえにけれ
はるののこりは
けふばかりとて


いくかへり
咲き散る花を
ながめつつ
もの思ひくらす
春にあふらむ
いくかへり
さきちるはなを
ながめつつ
ものおもひくらす
はるにあふらむ
Сколько уж лет
Встречаю я весну,
Цветенью вишен радуясь, скорбя об увяданье.
Много ли мне еще осталось
Таких вёсен?

花散りし
山は青葉に
咲く藤の
色にも殘る
はるや見ゆらむ
はなちりし
やまはあをばに
さくふぢの
いろにものこる
はるやみゆらむ


心なき
花こそ根にも
歸るとも
鳥さへなどか
雲に入りけむ
こころなき
はなこそねにも
かへるとも
とりさへなどか
くもにいりけむ


くれがたき
春の日影も
わきて猶
なす事もなき
身にしられつゝ
くれがたき
はるのひかげも
わきてなほ
なすこともなき
みにしられつつ


おとこ山
昔のみゆき
思ふにも
かざしゝ花の
春ぞ忘れぬ
おとこやま
むかしのみゆき
おもふにも
かざししはなの
はるぞわすれぬ


程もなき
月日をそへて
歎かな
くれ行春を
したふのみかは
ほどもなき
つきひをそへて
なげくかな
くれゆくはるを
したふのみかは


おしみこし
春にやことし
したはれん
彌生の末も
またぬ身ならば
おしみこし
はるにやことし
したはれん
やよひのすゑも
またぬみならば


めくりゆかは
春には又も
逢とても
けふのこよひは
後にしもあらし
めくりゆかは
はるにはまたも
あふとても
けふのこよひは
のちにしもあらし


桜ちり
春のくれ行
物思ひも
わすられぬへき
山吹のはな
さくらちり
はるのくれゆく
ものおもひも
わすられぬへき
やまぶきのはな


花はちり
鳥はまれなる
比にしも
さく山ふきは
心ありけり
はなはちり
とりはまれなる
ころにしも
さくやまふきは
こころありけり


花もちり
鳥もかへりぬ
哀てふ
ことをあまたに
くるゝ春かな
はなもちり
とりもかへりぬ
あはれてふ
ことをあまたに
くるるはるかな


とゝまらぬ
わかれのみかは
花鳥の
名残につけて
おしき春哉
ととまらぬ
わかれのみかは
はなとりの
なごりにつけて
おしきはるかな


花鳥の
色音もたえて
くるゝ空の
霞はかりに
残る春かな
はなとりの
いろねもたえて
くるるそらの
かすみはかりに
のこるはるかな


春とてや
山郭公
なかさらん
青葉の木々の
むらさめの宿
はるとてや
やまほととぎす
なかさらん
あをばのき々の
むらさめのやど


ぬれておる
藤のしたかけ
露散て
春やいくかの
夕暮の雨
ぬれておる
ふぢのしたかけ
つゆちりて
はるやいくかの
ゆふぐれのあめ


色ふかく
にほへる藤の
花ゆへに
残りすくなき
春をこそ思へ
いろふかく
にほへるふぢの
はなゆへに
のこりすくなき
はるをこそおもへ


藤波の
花さくみれは
ほとゝきす
なくへき時は
ちかつきにけり
ふぢなみの
はなさくみれは
ほとときす
なくへきときは
ちかつきにけり


花たにも
散のこらなん
をのつから
おしむにとまる
春かともみん
はなたにも
ちりのこらなん
をのつから
おしむにとまる
はるかともみん


花はたゝ
風のつらさに
なしはてぬ
春をは何の
さそひてかゆく
はなはたた
かぜのつらさに
なしはてぬ
はるをはなにの
さそひてかゆく


なれきつる
花の名残も
哀なり
身はなゝそちの
春の暮かた
なれきつる
はなのなごりも
あはれなり
みはななそちの
はるのくれかた


春をしたふ
なこりの花も
色くれぬ
とよらの寺の
入逢の空
はるをしたふ
なこりのはなも
いろくれぬ
とよらのてらの
いりあひのそら


春をしたふ
心のともそ
あはれなる
弥生の暮の
鶯の声
はるをしたふ
こころのともそ
あはれなる
やよひのくれの
うぐひすのこゑ


枝にちる
花こそあらめ
鶯の
ねさへかれゆく
春の暮哉
えだにちる
はなこそあらめ
うぐひすの
ねさへかれゆく
はるのくれかな


くれてゆく
春の残りを
なかむれは
霞のそこに
有明の月
くれてゆく
はるののこりを
なかむれは
かすみのそこに
ありあけのつき


おしめとも
こよひもあけは
行春を
あすはかりとや
あすは思はん
おしめとも
こよひもあけは
ゆくはるを
あすはかりとや
あすはおもはん


なかめやる
外山のあさけ
此まゝに
かすめやあすも
春を残して
なかめやる
とやまのあさけ
そのままに
かすめやあすも
はるをのこして


飛とりの
をくりのつはさ
しほるらし
雲路雨なる
春の別に
とぶとりの
をくりのつばさ
しぼるらし
くもぢあめなる
はるのわかれに


年をへて
春のおしさは
まされとも
おひは月日の
はやくも有かな
としをへて
はるのおしさは
まされとも
おひはつきひの
はやくもあるかな


よもすから
おしみ〳〵て
あかつきの
鐘とともにや
春はつくらん
よもすから
おしみおしみて
あかつきの
かねとともにや
はるはつくらん


奥つ風
吹こす礒の
松かえに
あまりてかゝる
たこのうら藤
おきつかぜ
ふきこすいその
まつかえに
あまりてかかる
たこのうらふぢ


いかにいひ
いかにとはんと
思ふまに
心もつきて
はるもくれにき
いかにいひ
いかにとはんと
おもふまに
こころもつきて
はるもくれにき


桜花
ちらなん後の
かたみには
まつにかゝれる
藤を頼まん
さくらばな
ちらなんのちの
かたみには
まつにかかれる
ふぢをたのまん

*2ちりなん後のイ
人しれぬ
み山かくれの
さくらはな
いたつらにちる
春やへぬらん
ひとしれぬ
みやまかくれの
さくらはな
いたつらにちる
はるやへぬらん


心憂き
年にもあるかな
二十日あまり
九日といふに
春の暮れぬる
こころうき
としにもあるかな
はつかあまり
ここぬかといふに
はるのくれぬる
Бывает ли
В году чего печальней?
Уже
Двадцать девятое число, —
И всё, закончилась весна...
Примерный перевод
長能集
としことに
春はくれとも
池水に
おふるぬなはは
たえすそ有りける
としことに
はるはくれとも
いけみつに
おふるぬなはは
たえすそありける


このまより
ちりくる花を
あつさゆみ
えやはととめぬ
はるのかたみに
このまより
ちりくるはなを
あつさゆみ
えやはととめぬ
はるのかたみに


惜めども
うつる日數に
行く春の
名殘をかけて
咲ける藤波
をしめども
うつるひかずに
ゆくはるの
なごりをかけて
さけるふぢなみ


末の松
咲きこす藤の
波のまに
又や彌生の
はるも暮れなむ
すゑのまつ
さきこすふぢの
なみのまに
またややよひの
はるもくれなむ


積りぬる
別れは春に
ならへども
慰めかねて
暮るゝ空かな
つもりぬる
わかれははるに
ならへども
なぐさめかねて
くるるそらかな


如何計り
今日の暮るゝを
嘆かまし
明日もと春を
思わざりせば
いかばかり
けふのくるるを
なげかまし
あすもとはるを
おもわざりせば


月日とて
やすくな過ぎそ
暮れて行く
彌生の空の
春の別路
つきひとて
やすくなすぎそ
くれてゆく
やよひのそらの
はるのわかれぢ


ここのへの
花は老木に
なりにけり
なれこし春は
きのふと思ふ
ここのへの
はなはおいきに
なりにけり
なれこしはるは
きのふとおもふ


なくとても
花やはとまる
はかなくも
暮れゆく春の
うぐひすのこゑ
なくとても
はなやはとまる
はかなくも
くれゆくはるの
うぐひすのこゑ


今はまた
花のかげとも
頼まれず
暮れなばなげの
春の日數に
いまはまた
はなのかげとも
たのまれず
くれなばなげの
はるのひかずに


水底に
春やくるらむ
みよしのの
よしののかはに
かはづ鳴くなり
みなそこに
はるやくるらむ
みよしのの
よしののかはに
かはづなくなり


たらちねの
親のいさめの
絶しより
花になかめの
春そへにける
たらちねの
おやのいさめの
たえしより
はなになかめの
はるそへにける


後に又
あひみんことも
たのまれす
身も老らくの
春のわかれは
のちにまた
あひみんことも
たのまれす
みもおいらくの
はるのわかれは


老ぬれは
いとゝ春こそ
おしまるれ
今いくとせか
花もあひみん
おいぬれは
いととはるこそ
おしまるれ
いまいくとせか
はなもあひみん


いにしへに
我身の春は
わかれにき
なにかやよひの
暮はかなしき
いにしへに
わがみのはるは
わかれにき
なにかやよひの
くれはかなしき


山のみな
うつりてけふに
あふことは
春のわかれを
とふと成へし
やまのみな
うつりてけふに
あふことは
はるのわかれを
とふとなるへし


山のみな
うつりてけふに
あふ事は
はるのわかれを
とふとなるべし
やまのみな
うつりてけふに
あふことは
はるのわかれを
とふとなるべし
Горы все сюда
перебрались сегодня на
свиданье...
Весну на прощанье —
то навестить пришли...

匂ふより
春はくれ行
山ふきの
花こそ花の
中につらけれ
にほふより
はるはくれゆく
やまふきの
はなこそはなの
なかにつらけれ


春はたゝ
かすむはかりの
山のはに
暁かけて
月いつるころ
はるはたた
かすむはかりの
やまのはに
あかつきかけて
つきいつるころ


なかめこし
山のすそ野の
夕霞
その色となく
おしき春かな
なかめこし
やまのすそのの
ゆふかすみ
そのいろとなく
おしきはるかな


ときはなる
松の名たてに
あやなくも
かゝれる藤の
咲て散哉
ときはなる
まつのなたてに
あやなくも
かかれるふぢの
さきてちるかな


常磐なる
松名立てに
文無くも
掛れる藤の
咲きて散哉
ときはなる
まつのなたてに
あやなくも
かかれるふぢの
さきてちるかな


うつろはぬ
まつのなたてに
あやなくも
宿れる藤の
さきてちるかな
うつろはぬ
まつのなたてに
あやなくも
やどれるふぢの
さきてちるかな


今日くれて
あすに成なは
藤浪の
かけてのみこそ
春を忍はめ
けふくれて
あすになりなは
ふぢなみの
かけてのみこそ
はるをしのはめ


何ゆへに
春の別は
おしきそと
とふへき花の
ちりにけるかな
なにゆへに
はるのわかれは
おしきそと
とふへきはなの
ちりにけるかな


行春の
せきにしとまる
物ならは
相坂山の
花はちらしな
ゆくはるの
せきにしとまる
ものならは
あふさかやまの
はなはちらしな


稀にあふ
弥生の月の
数そへて
春にをくれぬ
花をみる哉
まれにあふ
やよひのつきの
かずそへて
はるにをくれぬ
はなをみるかな


かそへては
のこりいくかと
またれつる
わかれに春の
成にけるかな
かそへては
のこりいくかと
またれつる
わかれにはるの
なりにけるかな


なからへて
さてもいくたひ
おしむらん
身にかへつへき
春の別を
なからへて
さてもいくたひ
おしむらん
みにかへつへき
はるのわかれを


あはれとは
我身のみこそ
思ひけれ
はかなく春を
過しきぬれは
あはれとは
わがみのみこそ
おもひけれ
はかなくはるを
すごしきぬれは


老ぬれは
春のくるゝも
おしき哉
いそく日数も
命ならすや
おいぬれは
はるのくるるも
おしきかな
いそくひかずも
いのちならすや


人はいさ
老ぬる身には
大かたの
春のわかれも
かなしかりける
ひとはいさ
おいぬるみには
おほかたの
はるのわかれも
かなしかりける


又もこん
春の別を
なけきしは
せめて思ひの
なき世なりけり
またもこん
はるのわかれを
なけきしは
せめておもひの
なきよなりけり


立かへり
つれなき世そと
しりなから
人の思ひに
又なけく哉
たちかへり
つれなきよそと
しりなから
ひとのおもひに
またなけくかな


今さらに
難面世をは
おとろかて
しりていとはぬ
身を歎く哉
いまさらに
かたおもよをは
おとろかて
しりていとはぬ
みをなげくかな


山のはに
やゝ入ぬへき
春の日の
こゝろなかきも
かきりこそあれ
やまのはに
ややいりぬへき
はるのひの
こころなかきも
かきりこそあれ


かくはかり
くるゝ別を
したふとも
おもひもしらす
春や行らん
かくはかり
くるるわかれを
したふとも
おもひもしらす
はるやゆくらん


かくはかり
くるゝ別を
したふとも
おもひもしらす
春や行らん
かくはかり
くるるわかれを
したふとも
おもひもしらす
はるやゆくらん


世を捨て
後さへ春を
おしむこそ
むかし忘れぬ
心なりけれ
よをすてて
のちさへはるを
おしむこそ
むかしわすれぬ
こころなりけれ


この春の
わかれやかきり
とまる身の
おいて久しき
命ならねは
このはるの
わかれやかきり
とまるみの
おいてひさしき
いのちならねは


老か世の
我身の花の
なこりまて
ことしはいたく
おしき春哉
おいかよの
わがみのはなの
なこりまて
ことしはいたく
おしきはるかな


俟手云丹
不駐沼物砥
乍知
誣手戀敷
春之別歟
まててふに
とまらぬものと
しりながら
しひてこひしき
はるのわかれか

佚名
往春之
跡谷有砥
見申加者
迅還來砥
言申物緒
ゆくはるの
とたにありと
みましかは
とくかへりこと
いはましものを

佚名
色深く
見る野辺だにも
常ならば
春はゆくとも
形見ならまし
いろふかく
みるのべだにも
つねならば
はるはゆくとも
かたみならまし


待ててふに
とまらぬものと
知りながら
しひてぞ惜しき
春の別れを
まててふに
とまらぬものと
しりながら
しひてぞをしき
はるのわかれを


飽かずして
過ぎゆく春の
人ならば
とく帰へりこと
言はましものを
あかずして
すぎゆくはるの
ひとならば
とくかへりこと
ことはましものを


ゆく春の
跡だにありと
見ましかば
野辺のまにまに
とめましものを
ゆくはるの
あとだにありと
みましかば
のべのまにまに
とめましものを


日暮れば
かつ散る花を
あたらしみ
春の形見に
摘みそ入れつる
ひがくれば
かつちるはなを
あたらしみ
はるのかたみに
つみそいれつる


来る春に
あはむことこそ
かたからめ
過ぎゆくかたに
遅れずもがな
くるはるに
あはむことこそ
かたからめ
すぎゆくかたに
おそれずもがな