Весна
17
Лето
1
Осень
16
Зима
16
Любовь
34
Благопожелания
0
Странствия
7
Разлука
0
Скорбь
3
Буддийское
6
Синтоистское
0
Разное
83
Иное
0
皆人乎
宿与殿金者
打礼杼
君乎之念者
寐不勝鴨
みなひとを
ねよとのかねは
うつなれど
きみをしおもへば
いねかてぬかも
Хоть и звучит здесь колокол вечерний,
Что говорит всем людям:
“Спать пора!” —
Но о тебе тоскою я полна,
И потому забыться сном не в силах!..

近江惟帝里
裨叡寔神山
山靜俗塵寂
谷閒真理等
於穆我先考
獨悟闡芳緣
寶殿臨空構
梵鐘入風傳
煙雲萬古色
松柏九冬專
日月荏苒去
慈範獨依依
寂寞精禪處
俄為積草墀
古樹三秋落
寒草九月衰
唯餘兩楊樹
孝鳥朝夕悲

Ооми — это земля императора!
Хиэй — это божественная гора!
В горной тиши мирская пыль замолкает.
В долинах исключительно истина пребывает.
Скорблю о моём почившем отце!
Здесь он постиг благоуханную связь!
Драгоценный павильон в небе высился!
А колокол звучал от дуновенья ветра!
Дымка в облаках такая же, как прежде!
Кипарисы и сосны и в зиму в цвету!
Дни и луны всё идут и идут,
И лишь твоя благодетель всевечна.
Одиноко и тихо в месте духовной медитации,
Вскоре будет здесь сад с травой и камнями.
Облетит листва старого дерева в осенние луны.
А в девятой луне зацветут цветы с грустью.
И лишь тополя два здесь стоять ещё будут.
Птицы будут с почтеньем грустить днём и ночью.
105
独よし野ゝおくにたどりけるに、まことに山ふかく、白雲峯に重り、烟雨谷を埋ンで、山賎の家處々にちひさく、西に木を伐音東にひヾき、院々の鐘の聲は心の底にこたふ。
ひとりよし野ゝおくにたどりけるに、まことに山ふかく、白雲はくうんみねかさなり、烟雨えんう谷をうづンで、山賎やまがつ家處々ところどころにちひさく、西に木を伐音きるおと東にひヾき、院々の鐘のこゑは心の底にこたふ。
На этот раз один — всё дальше и дальше — брёл по тропам Ёсино: вот уж и вправду горная глушь многослойные белые тучи громоздятся над вершинами, дождевой туман прикрывает ущелья, там и сям разбросаны по склонам, словно игрушечные, хижины дровосеков, на западе рубят деревья, а стук топоров раздается на востоке, удары храмовых колоколов рождают отклик в самой глубине души.

「我等參向官、開寺南門、令得親拜。更請、我等及於詣闕之間、欲令鍾聲從。此謂欲令鐘聲不絕也。」

“Когда нас поведут к чиновникам, откройте южные ворота храма, чтобы мы могли с жаром молитвы возносить. И просим еще: когда нас приведут во дворец государев, звоните в колокол”.

眾僧隨願鳴鍾、轉經門合得奉拜。

Монахи сделали так, как их просили: звонили в колокол, читали сутры и открыли ворота, чтобы [крестьяне] могли молиться.

あくる待つ
鐘の声にも
夢さめて
秋のもも夜の
心地せしかな
あくるまつ
かねのこゑにも
ゆめさめて
あきのももよの
ここちせしかな
Я ждал рассвета, не смыкая глаз,
Но утреннего колокола звуки
Меня от грёзы пробудили,
И вот на сердце мрак такой,
Что стоит тысячи ночей осенних.

その中に大なる鈴、鏡、金の簾今にありとぞ。

Кажется, среди тех сокровищ и поныне сохранились большие колокольчики, зеркала, шторы-сударэ, сотканные
из золотой нити и ещё много чего.

恋ひわぶと
聞きにだに聞け
鐘の音に
うち忘らるる
時のまぞなき
こひわぶと
ききにだにきけ
かねのねに
うちわすらるる
ときのまぞなき
Тоскую и скорблю,
Слушая колокольный звон.
Увы!
Даже он не разбудит ее,
Мне ж — ни на миг не забыть!

年も経ぬ
祈る契りは
初瀬山
尾上の鐘の
よその夕暮れ
としもへぬ
いのるちぎりは
はつせやま
をのへのかねの
よそのゆふぐれ
Годами я молил богов Хацусэ,
Прося твоей любви, —
Тот колокол поныне отсчитывает время
По вечерам
Увы! Не для меня!

待つ宵に
ふけゆく鐘の
声聞けば
あかぬ別れの
鳥はものかは
まつよひに
ふけゆくかねの
こゑきけば
あかぬわかれの
とりはものかは
Звон колокола,
Что отсчитывает время,
Печальнее ещё,
Чем на рассвете,
Крик петуха.

有明の
月の行く方を
ながめてぞ
野寺の鐘は
聞くべかりける
ありあけの
つきのゆくかたを
ながめてぞ
のてらのかねは
きくべかりける
Как благостно глазами провожать
Луну рассветную, плывущую на запад,
Прислушиваясь
К звону колокола,
Отсчитывающему время.

暮れぬめり
いくかをかくて
過ぎぬらむ
入相の鐘の
つくづくとして
くれぬめり
いくかをかくて
すぎぬらむ
いりあひのかねの
つくづくとして
Ах, кажется и этот день
Идет к концу.
А сколько дней уже
Так пронеслось
Под грустный перезвон колоколов!

待たれつる
入相の鐘の
音すなり
あすもやあらば
聞かむとすらむ
またれつる
いりあひのかねの
おとすなり
あすもやあらば
きかむとすらむ
Чу! Колокола
Долгожданный звон...
Не знаю,
Доведется ль завтра снова
Услышать этот звук...

あかつきと
つげの枕を
そばだてて
聞くもかなしき
鐘の音かな
あかつきと
つげのまくらを
そばだてて
きくもかなしき
かねのおとかな
Откинув изголовье,
Прислушался:
Колоколов
Печальный звук
Мне возвестил рассвет.

けふ過ぎぬ
命もしかと
おどろかす
入相の鐘の
声ぞかなしき
けふすぎぬ
いのちもしかと
おどろかす
いりあひのかねの
こゑぞかなしき
Нынешний день прошел
На день короче
Стала моя жизнь,
И грустно звучит
Вечерний колокол.

都府楼纔看瓦色
観音寺只聴鐘声
都府楼ハ纔ニ瓦ノ色ヲ看ル
観音寺ハ只ダ鐘ノ声ヲ聴ク
Взглянул на город и увидал
лишь блеск черепичных крыш;
А в храме всеблагой Гуаньинь
лишь колокол услыхал.

*
遺愛寺鐘欹枕聴
香炉峯雪撥簾看

Колокол в храме Утраты Любви
слышу, припав к изголовью;
Снег на далекой вершине Сянлу
вижу, откинув полог

曉の
鐘のこゑこそ
きこゆなれ
これを入相と
思はましかば
あかつきの
かねのこゑこそ
きこゆなれ
これをいりあいと
おもはましかば


つく〴〵と
むなしき空を
眺めつゝ
入相の鐘に
ぬるゝ袖哉
つくづくと
むなしきそらを
ながめつつ
いりあひのかねに
ぬるるそでかな


暁を
なにに待ちけむ
思ふこと
なるとも聞かぬ
鐘の音ゆゑ
あかつきを
なににまちけむ
おもふこと
なるともきかぬ
かねのおとゆゑ
До утренней зари
Зачем томились мы?
Ведь колокол рассветный
Бьёт не о том,
Что сбудутся надежды.

阿可都岐波
止利母奈倶那利
天羅天羅能
可祢毛止与表奴
阿介婆天奴巳能与
あかつきは
とりもなくなり
てらでらの
かねもとよみぬ
あけはてぬこのよ

Примерный перевод

たのもしな
よひあかつきの
かねのおと
ものおもふつみも
つきざらめやは
たのもしな
よひあかつきの
かねのおと
ものおもふつみも
つきざらめやは


あかつきの
あらしにたぐふ
かねのおとを
心のそこに
こたへてぞきく
あかつきの
あらしにたぐふ
かねのおとを
こころのそこに
こたへてぞきく


またれつる
いりあひのかねの
おとすなり
あすもやあらば
きかんとすらん
またれつる
いりあひのかねの
おとすなり
あすもやあらば
きかんとすらん


みねおろす
まつのあらしの
音に又
ひびきをそふる
入あひのかね
みねおろす
まつのあらしの
おとにまた
ひびきをそふる
いりあひのかね


限あれば
明けなむとする
鐘の音に
猶長き夜の
月ぞ殘れる
かぎりあれば
あけなむとする
かねのねに
なほながきよの
つきぞのこれる


覺束な
筑麻の神の
ためならば
いくつか鍋の
數はいるべき
おぼつかな
ちくまのかみの
ためならば
いくつかかねの
かずはいるべき


また、冬の夜のいみじうさむきに、うづもれ臥して聞くに、鐘の音の、ただ物の底なるやうにきこゆる、いとをかし。


(В переводе отсутствует)
高野山
曉をまつ
鐘のおとも
いくよの霜に
こゑふりぬらむ
たかのやま
あかつきをまつ
かねのおとも
いくよのしもに
こゑふりぬらむ
На горе Такано
Ожидающего рассвета
Колокола тоже
Сколько лет
Голос в морозах разлетался?
Примерный перевод
拡張
旅ねする
夜床さえつゝ
明けぬらし
と方ぞ鐘の
聲聞ゆなる
たびねする
よとこさえつつ
あけぬらし
とかたぞかねの
こゑきこゆなる
Спишь в пути,
И ложе ночное холодно.
"Наверное, рассвело", —
Слышишь издалека
Звук колокола.
Примерный перевод

あかつきの
鐘ぞ哀を
打ちそふる
うき世の夢の
さむる枕に
あかつきの
かねぞあはれを
うちそふる
うきよのゆめの
さむるまくらに


思ふこと
まだつきはてぬ
長き夜の
ね覺にまくる
鐘の音かな
おもふこと
まだつきはてぬ
ながきよの
ねさめにまくる
かねのおとかな


つく〴〵と
暮るゝ空こそ
悲けれ
あすも聞べき
鐘の音かは
つくづくと
くるるそらこそ
かなしけれ
あすもきくべき
かねのおとかは


更けにける
我世の程の
悲しきは
鐘の聲さへ
うち忘れつゝ
ふけにける
わがよのほどの
かなしきは
かねのこゑさへ
うちわすれつつ


鐘のおとも
聞えぬ旅の
山路には
明け行く空を
月に知る哉
かねのおとも
きこえぬたびの
やまぢには
あけゆくそらを
つきにしるかな

Дороги горные,
В путешествии, где не слышен
Даже колокола звон,
Ведомы лишь луне
Рассветающего неба.
待ちなれし
契はよその
夕暮に
ひとりかなしき
入あひの鐘
まちなれし
ちぎりはよその
ゆふくれに
ひとりかなしき
いりあひのかね


なれきつる
曉おきの
鐘のおとも
一夜計りに
なるぞ嬉しき
なれきつる
あかつきおきの
かねのおとも
ひとよばかりに
なるぞうれしき


いつまでと
聞くにつけても
悲しきは
老のねざめの
曉の鐘
いつまでと
きくにつけても
かなしきは
おいのねざめの
あかつきのかね


しづかなる
ねざめ夜深き
曉の
鐘よりつゞく
鳥のこゑ〴〵
しづかなる
ねざめよふかき
あかつきの
かねよりつづく
とりのこゑごゑ


鐘の音に
寐ざめて見れば
曉の
窓にぞ月は
かたぶきにける
かねのねに
ねざめてみれば
あかつきの
まどにぞつきは
かたぶきにける


鐘の音に
今や明けぬと
ながむれば
猶雲深し
峰の志らゆき
かねのねに
いまやあけぬと
ながむれば
なほくもふかし
みねのしらゆき


今ぞ聞く
夕こえくれば
はつせ山
檜原の奥の
いりあひの鐘
いまぞきく
ゆふこえくれば
はつせやま
ひばらのおくの
いりあひのかね


花のいろは
猶暮れやらで
初瀬山
をのへの鐘の
聲ぞ聞ゆる
はなのいろは
なほくれやらで
はつせやま
をのへのかねの
こゑぞきこゆる


頼めても
こぬ人を待つ
夕ぐれに
心をつくす
いりあひの鐘
たのめても
こぬひとをまつ
ゆふぐれに
こころをつくす
いりあひのかね


暫しだに
更けぬになして
慰めむ
まつ夜の鐘の
聲な聞かせそ
しばしだに
ふけぬになして
なぐさめむ
まつよのかねの
こゑなきかせそ


更けゆけば
鐘の響も
あらし山
そらに聞えて
すめる月かな
ふけゆけば
かねのひびきも
あらしやま
そらにきこえて
すめるつきかな


明けやらぬ
鐘の響は
ほのかにて
初瀬の檜原
月ぞかたぶく
あけやらぬ
かねのひびきは
ほのかにて
はつせのひばら
つきぞかたぶく


あらし山
ふもとの鐘は
聲さえて
有明のつきぞ
嶺に殘れる
あらしやま
ふもとのかねは
こゑさえて
ありあけのつきぞ
みねにのこれる


暮れ果つる
あらしの底に
答ふなり
宿訪ふ山の
入相のかね
くれはつる
あらしのそこに
こたふなり
やどとふやまの
いりあひのかね


初瀬山
傾ぶく月も
ほの〴〵と
かすみに洩るゝ
鐘のおと哉
はつせやま
かたぶくつきも
ほのぼのと
かすみにもるる
かねのおとかな


吹き冴ゆる
嵐のつての
二聲に
又はきこえぬ
あかつきの鐘
ふきさゆる
あらしのつての
ふたこゑに
またはきこえぬ
あかつきのかね


よしさらば
またじと思ふ
夕暮を
またおどろかす
入相の鐘
よしさらば
またじとおもふ
ゆふぐれを
またおどろかす
いりあひのかね


初瀬山
檜原に月は
傾ぶきて
とよらの鐘の
こゑぞふけゆく
はつせやま
ひばらにつきは
かたぶきて
とよらのかねの
こゑぞふけゆく


山深み
おりゐるそらは
明けやらで
麓に遠き
あかつきの鐘
やまふかみ
おりゐるそらは
あけやらで
ふもとにとほき
あかつきのかね


鐘の音に
夢は覺めぬる
後にしも
更に寂しき
あかつきの床
かねのねに
ゆめはさめぬる
のちにしも
ふけにさびしき
あかつきのとこ


聞き聞かず
同じ響きも
亂るなり
嵐のうちの
あかつきの鐘
きききかず
おなじひびきも
みだるなり
あらしのうちの
あかつきのかね


鐘の音を
ひとつ嵐に
吹きこめて
夕暮しをる
のきの松かぜ
かねのねを
ひとつあらしに
ふきこめて
ゆふくらしをる
のきのまつかぜ


つれ〴〵と
詠め〳〵て
暮るゝ日の
入相の鐘の
聲ぞ寂しき
つれづれと
ながめながめて
くるるひの
いりあひのかねの
こゑぞさびしき


寺深き
寢覺の山は
明けもせで
あま夜の鐘の
聲ぞしめれる
てらふかき
ねざめのやまは
あけもせで
あまよのかねの
こゑぞしめれる


鐘のおと
鳥のね聞かぬ
おく山の
曉知るは
寢ざめなりけり
かねのおと
とりのねきかぬ
おくやまの
あかつきしるは
ねざめなりけり


曉の
鐘はまくらに
音すれど
うき世の夢は
覺めむともせず
あかつきの
かねはまくらに
おとすれど
うきよのゆめは
さめむともせず


今になり
むかしに歸り
思ふ間に
寐覺の鐘も
聲盡きぬなり
いまになり
むかしにかへり
おもふまに
ねざめのかねも
こゑつきぬなり


初瀬山
尾上の鐘や
更けぬらむ
いざよふ雲に
出づる月かげ
はつせやま
おのえのかねや
ふけぬらむ
いざよふくもに
いづるつきかげ


せめて唯
更行く鐘ぞ
待たれける
忘れて來ずば
驚かせとて
せめてただ
ふけゆくかねぞ
またれける
わすれてこずば
おどろかせとて


思ひ寐に
しばし慰む
夢をだに
ゆるさぬ夜半の
鐘の音かな
おもひねに
しばしなぐさむ
ゆめをだに
ゆるさぬよはの
かねのおとかな


待ちしよに
又立ちかへる
夕かな
入相の鐘に
物わすれせで
まちしよに
またたちかへる
ゆふべかな
いりあひのかねに
ものわすれせで


ひとりぬる
霜夜の鐘の
響きより
秋に更け行く
契をぞ知る
ひとりぬる
しもよのかねの
ひひきより
あきにふけゆく
ちぎりをぞしる


菅原や
絶えぬる法の
跡とめて
又おどろかす
鐘のおとかな
すがはらや
たえぬるのりの
あととめて
またおどろかす
かねのおとかな


夜寒なる
野寺の鐘は
おとづれて
淺茅が霜と
澄める月かげ
よさむなる
のてらのかねは
おとづれて
あさぢがしもと
すめるつきかげ


初瀬山
明けぬと月に
おどろけば
夜深き鐘の
音ぞきこゆる
はつせやま
あけぬとつきに
おどろけば
よふかきかねの
おとぞきこゆる


初瀬山
花のあたりは
さやかにて
よそより暮るゝ
入相の鐘
はつせやま
はなのあたりは
さやかにて
よそよりくるる
いりあひのかね


初瀬山
尾上の霧の
へだてにも
あけ行く鐘は
なほ聞えつゝ
はつせやま
おのえのきりの
へだてにも
あけゆくかねは
なほきこえつつ


初瀬山
みねの檜原も
うづもれて
雪のしたなる
入相のかね
はつせやま
みねのひばらも
うづもれて
ゆきのしたなる
いりあひのかね


みな人の
うき世の夢も
さむばかり
遥に響け
あかつきの鐘
みなひとの
うきよのゆめも
さむばかり
はるかにひひけ
あかつきのかね


枕に近き鐘のこゑ、曉の空におとづれて、かの遺愛寺のほとりの草の庵のねざめも、かくやありけむとあはれなり。



などいひしろふ程に、後夜の鐘うち驚かし、五壇の御修法、時始め、われも〳〵と、ときあげたる伴僧の聲々、遠く近く、聞きわたされたる程、おどろ〳〵しくたふとし。

И тут раздается звон колокола – настает время заутрени. В череде монахов каждый старается переусердствовать другого; голоса резки и прекрасны, слышимы далеко и близко.

鐘のおとを
友と頼みて
幾夜かも
ねぬは習ひの
小初瀬の山
かねのおとを
ともとたのみて
いくよかも
ねぬはならひの
をはつせのやま


吹きまよふ
嵐にかはる
ひゞきかな
おなじ麓の
入相のかね
ふきまよふ
あらしにかはる
ひびきかな
おなじふもとの
いりあひのかね


鐘のおとは
明けぬ暮ぬと
きけど猶
驚かぬ身の
果ぞ悲しき
かねのおとは
あけぬくれぬと
きけどなほ
おどろかぬみの
はてぞかなしき


霞み暮るゝ
空ものどけき
春雨に
遠き入相の
聲そさびしき
かすみくるる
そらものどけき
はるさめに
とほきいりあひの
こゑそさびしき


花の上の
暮れ行く空に
響きゝて
聲に色ある
いりあひの鐘
はなのうへの
くれゆくそらに
ひひききて
こゑにいろある
いりあひのかね


梢より
落ち來る花も
のどかにて
霞におもき
いりあひの聲
こずゑより
おちくるはなも
のどかにて
かすみにおもき
いりあひのこゑ


佳人盡飾於晨粧
魏宮鐘動
遊子猶行於殘月
函谷雞鳴



雞人曉唱
聲驚明王之眠
鳧鐘夜鳴
響徹暗天之聽



山寺の
入相鐘の
聲每に
今日も暮ぬと
聞くぞ悲しき
やまでらの
いりあひのかねの
こゑごとに
けふもくれぬと
きくぞかなしき


長樂鐘聲花外盡
龍池柳色雨中深



落花狼籍風狂後
啼鳥龍鐘雨打時



遲遲鐘漏初長夜
耿耿星河欲曙天



春深き
野寺立ち籠むる
夕霞
つゝみのこせる
鐘のおとかな
はるふかき
のてらたちこむる
ゆふかすみ
つつみのこせる
かねのおとかな


入相の
ひゞきを送る
山風に
もろき木の葉の
音ぞまじれる
いりあひの
ひびきをおくる
やまかぜに
もろきこのはの
おとぞまじれる


鐘の音に
あくるか空と
おきて見れば
霜夜の月ぞ
庭靜なる
かねのねに
あくるかそらと
おきてみれば
しもよのつきぞ
にはしずかなる


今は早
あけぬと思ふ
鐘のおとの
後しも長き
秋の夜半かな
いまははや
あけぬとおもふ
かねのおとの
のちしもながき
あきのよはかな


鹿のねを
入相の鐘に
吹きまぜて
己れ聲なき
みねのまつ風
しかのねを
いりあひのかねに
ふきまぜて
おのれこゑなき
みねのまつかぜ


こもり江の
初瀬の檜ばら
吹き分けて
嵐にもるゝ
入相の鐘
こもりえの
はつせのひばら
ふきわけて
あらしにもるる
いりあひのかね


山の端の
詠めにあたる
夕ぐれに
聞かで聞ゆる
入相のおと
やまのはの
ながめにあたる
ゆふぐれに
きかできこゆる
いりあひのおと


尋ね入る
山路のすゑは
人も逢はず
入相の鐘に
嵐こそ吹け
たづねいる
やまぢのすゑは
ひともあはず
いりあひのかねに
あらしこそふけ


かくしてぞ
昨日も暮れし
山の端の
入日のあとに
鐘の聲々
かくしてぞ
きのふもくれし
やまのはの
いりひのあとに
かねのこゑごゑ


山かげや
近き入相の
聲くれて
外面のたにゝ
沈むしらくも
やまかげや
ちかきいりあひの
こゑくれて
そとものたにに
しずむしらくも


春の夜は
明け行く鐘の
ひゞきまで
花に霞める
小初瀬の山
はるのよは
あけゆくかねの
ひびきまで
はなにかすめる
小はつせのやま


初瀬山
尾上の花は
散り果てゝ
入相のかねに
春ぞ暮れぬる
はつせやま
おのえのはなは
ちりはてて
いりあひのかねに
はるぞくれぬる


山の常行堂の流通の鐘に鑄つけ侍りける歌

心海上人



本覺の
山のたかねの
鐘のおとに
長き眠を
おどろかすかな
もとさめの
やまのたかねの
かねのおとに
ながきねむりを
おどろかすかな


浄妙寺は、東三条の大臣の、大臣になり給ひて、御慶びに木幡に参り給へりし御供に、入道殿具し奉らせ給ひて御覧ずるに、多くの先祖の御骨おはするに、鐘の声聞き給はぬ、いと憂きことなり、わが身思ふさまになりたらば、三昧堂建てむと、御心のうちに思し召し企てたりける、とこそ承れ。



頼めしも
忘れむと思ふ
今日の日を
くるとな告げそ
入相の鐘
たのめしも
わすれむとおもふ
けふのひを
くるとなつげそ
いりあひのかね


入相の
おとのみならず
山でらは
ふみよむ聲も
あはれなりけり
いりあひの
おとのみならず
やまでらは
ふみよむこゑも
あはれなりけり


はつせ山
入あひの鐘も
うちわびぬ
あかでくれぬる
花の名殘に
はつせやま
いりあひのかねも
うちわびぬ
あかでくれぬる
はなのなごりに


うづもるゝ
響もさびし
泊瀬山
入逢の鐘に
ふれる白雪
うづもるる
ひびきもさびし
はつせやま
いりあひのかねに
ふれるしらゆき

瀬: иероглиф отличается в книге: 氵賴
山ふかき
入りあひの鐘の
声ごとに
今日ぞ日ごろの
数は知るらん
やまふかき
いりあひのかねの
こゑごとに
けふぞひごろの
かずはしるらん

世継物語-27

Makura-234
Когда я затворилась для поста и молитвы в храме Киёмидзу…
なをざりに
賴めをきてし
夜半ならば
更行鐘に
待やよはらん
なをざりに
たのめをきてし
よはならば
ふけゆくかねに
まつやよはらん


山里の
春の夕暮れ
きてみれば
いりあひの鐘に
花ぞ散りける
やまざとの
はるのゆふぐれ
きてみれば
いりあひのかねに
はなぞちりける
Горный приют...
Послышался вечерний звон,
А вслед за ним —
Посыпались с ветвей
Увядших вишен лепестки...

去ともと
思ふ心も
つきはてぬ
待夜更行
かねのひゞきに
さりともと
おもふこころも
つきはてぬ
まつよけふゆく
かねのひびきに


うかりける
身のならはしの
夕かな
入會の鐘に
もの忘せで
うかりける
みのならはしの
ゆふべかな
いりあひのかねに
ものわすれせで


今はたゞ
またれじ物を
とばかりに
うちなげかるゝ
入會のかね
いまはただ
またれじものを
とばかりに
うちなげかるる
いりあひのかね


あぢきなく
行らんかたの
空までは
思もいれじ
いり會のかね
あぢきなく
ゆらんかたの
そらまでは
おもひもいれじ
いりあひのかね


鐘のおとも
明け離れ行く
山のはの
霧にのこれる
有明の月
かねのおとも
あけはなれゆく
やまのはの
きりにのこれる
ありあけのつき


はつ霜や
おきはしむらん
暁の
かねのおとこそ
ほのきこゆなれ
はつしもや
おきはしむらむ
あかつきの
かねのおとこそ
ほのきこゆなれ


たかさこの
をのへのかねの
おとすなり
暁かけて
霜やおくらん
たかさこの
をのへのかねの
おとすなり
あかつきかけて
しもやおくらむ


山里の
夕暮れの鐘の
声ごとに
今日も暮れぬと
聞くぞ悲しき
やまざとの
ゆふくれのかねの
こゑごとに
けふもくれぬと
きくぞかなしき


いにしへは
いかゞきゝみし
身をせむる
入會の鐘の
夕暮の空
いにしへは
いかがききみし
みをせむる
いりあひのかねの
ゆふぐれのそら


日はくれぬと
思ならひの
山陰は
げにいそぎけり
入會の鐘
ひはくれぬと
おもふならひの
やまかげは
げにいそぎけり
いりあひのかね


泊瀨山
檜原吹しく
風のをとに
たぐひて響
入會の鐘
はつせやま
ひばらふきしく
かぜのをとに
たぐひてひびく
いりあひのかね


さらでだに
泪こぼるゝ
夕暮に
ねなうちそへそ
入會のかね
さらでだに
なみだこぼるる
ゆふくれに
ねなうちそへそ
いりあひのかね


君になど
我世はつせの
鐘のをとの
かくなるとだに
しらせざりけん
きみになど
わがよはつせの
かねのをとの
かくなるとだに
しらせざりけん


何となき
心のつみも
消えぬらん
月もあり明けの
かねのひゞきに
なにとなき
こころのつみも
きえぬらん
つきもありあけの
かねのひびきに


冬山の
雪ふきしほる
木からしに
かたもさためぬ
暁の鐘
ふゆやまの
ゆきふきしほる
こからしに
かたもさためぬ
あかつきのかね


鐘のをとは
猶ふかき夜の
やすらひに
又おとろかす
鳥の音もうし
かねのをとは
なほふかきよの
やすらひに
またおとろかす
とりのねもうし


こひ〳〵て
逢夜の夢を
うつゝとも
しらすかほなる
鐘の音かな
こひこひて
あふよのゆめを
うつつとも
しらすかほなる
かねのおとかな


山寺の
あかつきかたの
鐘のをとに
なかきねふりを
さましてし哉
やまてらの
あかつきかたの
かねのをとに
なかきねふりを
さましてしかな


鐘のをとをきゝて



あかつきの
鐘のこゑこそ
うれしけれ
なかきうきよの
明ぬと思へは
あかつきの
かねのこゑこそ
うれしけれ
なかきうきよの
あかぬとおもへは


一こゑの
鐘のをとこそ
哀なれ
いかなる人の
をはりなるらん
ひとこゑの
かねのをとこそ
あはれなれ
いかなるひとの
をはりなるらん


聞なるゝ
やそちあまりの
鐘のこゑ
よひあかつきも
哀いつまて
ききなるる
やそちあまりの
かねのこゑ
よひあかつきも
あはれいつまて


冬山の
雪ふきしほる
木からしに
かたもさためぬ
暁の鐘
ふゆやまの
ゆきふきしほる
こからしに
かたもさためぬ
あかつきのかね


鐘のをとは
猶ふかき夜の
やすらひに
又おとろかす
鳥の音もうし
かねのをとは
なほふかきよの
やすらひに
またおとろかす
とりのねもうし


こひ〳〵て
逢夜の夢を
うつゝとも
しらすかほなる
鐘の音かな
こひこひて
あふよのゆめを
うつつとも
しらすかほなる
かねのおとかな


山寺の
あかつきかたの
鐘のをとに
なかきねふりを
さましてし哉
やまてらの
あかつきかたの
かねのをとに
なかきねふりを
さましてしかな


鐘のをとをきゝて



あかつきの
鐘のこゑこそ
うれしけれ
なかきうきよの
明ぬと思へは
あかつきの
かねのこゑこそ
うれしけれ
なかきうきよの
あかぬとおもへは


一こゑの
鐘のをとこそ
哀なれ
いかなる人の
をはりなるらん
ひとこゑの
かねのをとこそ
あはれなれ
いかなるひとの
をはりなるらん


聞なるゝ
やそちあまりの
鐘のこゑ
よひあかつきも
哀いつまて
ききなるる
やそちあまりの
かねのこゑ
よひあかつきも
あはれいつまて


はつせ山
檜原の霧や
晴ぬらん
声をへたてぬ
入逢の鐘
はつせやま
ひばらのきりや
はれぬらん
こゑをへたてぬ
いあのかね


鐘の音は
明ぬときけと
高野山
猶はるかなる
あかつきの空
かねのおとは
あかぬときけと
たかのやま
なほはるかなる
あかつきのそら


聞わひぬ
おなし夕の
偽に
つらさかはらぬ
入あひの鐘



*いかゝせん
また夜そふかき
鐘の音に
名残つきせぬ
暁の空
*1いかにせんイ
*いかかせん
またよそふかき
かねのねに
なごりつきせぬ
あかつきのそら
*1いかにせんイ


うき人も
さすかいそかぬ
別路に
心をつくる
鐘のをと哉
うきひとも
さすかいそかぬ
わかれぢに
こころをつくる
かねのをとかな


入相の
鐘に嵐の
音そへて
けふをかきりと
花や散らん
いりあひの
かねにあらしの
おとそへて
けふをかきりと
はなやちらん


夜を残す
枕の上の
鐘の音に
いそちの夢そ
哀みしかき
よをのこす
まくらのうへの
かねのねに
いそちのゆめそ
あはれみしかき


嵐山
入会の鐘に
音をそへて
けふも暮ぬと
鹿そ鳴なる



松風に
尾上の鐘も
ひゝけとも
紅葉に残る
夕つく日哉
まつかぜに
おのえのかねも
ひゝけとも
もみぢにのこる
ゆふつくひかな


染のこす
梢もあらし
初せ山
入会の鐘に
雲そしくるゝ



天つ空
霜もみちぬる
夜半とてや
月にさえ行
鐘の音哉
あまつそら
しももみちぬる
よはとてや
つきにさえゆ
かねのおとかな


元亨三年、亀山殿にて、人々題をさくりて七百首歌つかうまつりけるついてに、羇中鐘と云事をよませ給うける

後宇多院御製



こえくれて
はや里ちかく
成にけり
山路の末の
入相の鐘
こえくれて
はやさとちかく
なりにけり
やまぢのすゑの
いりあひのかね


こえかぬる
岩ねの道に
宿とへは
猶山ふかき
鐘の音かな
こえかぬる
いはねのみちに
やどとへは
なほやまふかき
かねのおとかな


ほのかなる
野寺の鐘の
声まても
哀にたへぬ
秋の旅人
ほのかなる
のてらのかねの
こゑまても
あはれにたへぬ
あきのたびひと


こぬ人の
うきをもしらぬ
*鐘のねに
更ぬとまては
恨さらまし
*3鐘のをとにイ
こぬひとの
うきをもしらぬ
*かねのねに
ふけぬとまては
うらみさらまし
*3かねのをとにイ


明るまの
鐘をもまたぬ
つらさかな
夜深き鳥の
声に別て
あくるまの
かねをもまたぬ
つらさかな
よふかきとりの
こゑにわかれて


延文二年百首歌に、寄鐘恋を

宝篋院贈左大臣



鐘のをとに
逢とみえつる
夢覚て
こぬ人にさへ
別ぬるかな
かねのをとに
あとみえつる
ゆめさて
こぬひとにさへ
わかぬるかな


よそにのみ
思ひすてゝも
悲しきは
またぬ夕の
入逢の鐘
よそにのみ
おもひすてても
かなしきは
またぬゆふべの
いあのかね


ありし夜を
見はてぬ夢の
枕にも
猶うらめしき
鐘のをとかな
ありしよを
みはてぬゆめの
まくらにも
なほうらめしき
かねのをとかな


はつせ山
月にさひしき
鐘の音を
檜原にをくる
よはの秋かせ
はつせやま
つきにさひしき
かねのねを
ひばらにをくる
よはのあきかせ


あかつきは
尾上の寺に
風さえて
霜にこたふる
鐘聞ゆなり
あかつきは
おのえのてらに
かぜさえて
しもにこたふる
かねきこゆなり


足引の
山のふる道
跡たえて
尾上の鐘に
月そ残れる
あしびきの
やまのふるみち
あとたえて
おのえのかねに
つきそのこれる


山寺の
入逢よりも
老らくの
ね覚かなしき
鐘の音かな
やまてらの
いあよりも
おいらくの
ねさかなしき
かねのおとかな


明わたる
よ川の鐘の
音はして
雲のやへたつ
嶺そ夜深き
あわたる
よかはのかねの
おとはして
くものやへたつ
みねそよふかき


山の端に
また影とをき
月みれは
あくるもおしき
鐘の音かな
やまのはに
またかげとをき
つきみれは
あくるもおしき
かねのおとかな


数々に
うき身しらるゝ
ね覚して
思ひつきせぬ
鐘の音哉
かずかずに
うきみしらるる
ねさして
おもひつきせぬ
かねのおとかな


行末を
おもふね覚に
聞そへて
さすかおとろく
鐘の音かな
ゆくすゑを
おもふねさに
きそへて
さすかおとろく
かねのおとかな


古寺鐘を

権大納言通守



きかてたゝ
あらまし物を
けふの日も
初瀬の寺の
入あひの鐘
きかてたた
あらましものを
けふのひも
はつせのてらの
いあひのかね


いたつらに
此世もさてや
はつせ山
鐘のをとにも
おとろかぬ身は
いたつらに
このよもさてや
はつせやま
かねのをとにも
おとろかぬみは


見るまゝに
鐘のね遠く
成にけり
雲もかさなる
峰の古寺
みるままに
かねのねとほく
なりにけり
くももかさなる
みねのふるてら


長閑なる
入相の鐘は
ひゝきくれて
音せぬ風に
花そちりくる
のどかなる
いりあひのかねは
ひゝきくれて
おとせぬかぜに
はなそちりくる


よもすから
おしみ〳〵て
あかつきの
鐘とともにや
春はつくらん
よもすから
おしみおしみて
あかつきの
かねとともにや
はるはつくらん


鹿のねも
おのへの鐘も
たゆむなり
涙はつきぬ
秋のね覚に
しかのねも
おのへのかねも
たゆむなり
なみだはつきぬ
あきのねさめに


初瀬山
ひはらか嵐
鐘の声
夜ふかき月に
すましてそきく
はつせやま
ひはらかあらし
かねのこゑ
よふかきつきに
すましてそきく


床さえて
ねられぬ冬の
夜をなかみ
またるゝ鐘の
音そつれなき
とこさえて
ねられぬふゆの
よをなかみ
またるるかねの
おとそつれなき


初瀬山
尾上の雪け
雲晴て
嵐にちかき
あかつきの鐘
はつせやま
おのえのゆきけ
くもはれて
あらしにちかき
あかつきのかね


冬の比、後夜の鐘のをと聞えけれは峰の坊へのほるに、月雲より出て道を送る。峰にいたりて*禅室にいらんとする時(*禅堂イ)、月又雲をおひて、むかひの嶺にかくれなんとするよそほひ、人しれす月のわれにともなふかとみえけれは

高弁上人



行くれて
宿とふ山の
遠方に
しるへうれしき
入逢の鐘
ゆきくれて
やどとふやまの
とほかたに
しるへうれしき
いりあひのかね


待よはり
今はと思ひ
なる程よ
鐘より後に
鳥も声して
まちよはり
いまはとおもひ
なるほどよ
かねよりのちに
とりもこゑして


更はつる
鐘よ今はの
かなしさを
しらてつれなき
人や聞らん
ふけはつる
かねよいまはの
かなしさを
しらてつれなき
ひとやきくらん


心つきし
よひあかつきの
鐘のをとも
またす別て
きくしもそうき
こころつきし
よひあかつきの
かねのをとも
またすわかれて
きくしもそうき


散花を
尾上の鐘に
かへりみて
ゆふ山いつる
春の里人
ちるはなを
おのえのかねに
かへりみて
ゆふやまいつる
はるのさとひと


冬の夜は
鐘よりさきの
久しくて
暁またぬ
ね覚をそする
ふゆのよは
かねよりさきの
ひさしくて
あかつきまたぬ
ねさめをそする


檜原もる
在明の月に
聞ゆなり
尾上の寺の
鐘の一声
ひばらもる
ありあけのつきに
きこゆなり
おのえのてらの
かねのひとこゑ


いく声に
夢かおとろく
暁の
ね覚の後の
鐘そすくなき
いくこゑに
ゆめかおとろく
あかつきの
ねさののちの
かねそすくなき


鐘のをと
鳥の音きかぬ
ねさめには
暁になる
程もわかれす
かねのをと
とりのねきかぬ
ねさめには
あかつきになる
ほどもわかれす


暁の
鐘のひゝきに
夢さめて
猶その後も
夜はそ久しき
あかつきの
かねのひゝきに
ゆめさめて
なほそののちも
よはそひさしき


山寺に住侍ける比、夕日山に入て鐘の声々もをとなくなりて、あはれに覚えけれは

山田法師



見るまゝに
心ほそくも
暮るかな
入逢の鐘も
つきはてぬなり
みるままに
こころほそくも
くるるかな
いりあのかねも
つきはてぬなり


つく〳〵と
物を思ふに
うちそへて
おりあはれなる
鐘のをとかな
つくつくと
ものをおもふに
うちそへて
おりあはれなる
かねのをとかな


おとろかぬ
わか夕こそ
かなしけれ
またけふもきく
入逢の鐘
おとろかぬ
わかゆふべこそ
かなしけれ
またけふもきく
いりあひのかね


ふるき詩のことはを題にて人々歌つかうまつりける時、晩鐘声といふことをよみ侍ける

前大納言家雅



山ふかみ
ゆふへの鐘の
声つきて
残る嵐の
音そさひしき
やまふかみ
ゆふへのかねの
こゑつきて
のこるあらしの
おとそさひしき


山ふかき
里のしるへに
なる物は
入相の鐘の
声にそ有ける
やまふかき
さとのしるへに
なるものは
いりあひのかねの
こゑにそありける


いく里か
あらしにつけて
聞ゆらん
わかすむ寺の
入相の鐘
いくさとか
あらしにつけて
きこゆらん
わかすむてらの
いりあひのかね


鐘のをとを
松に吹しく
をひ風に
爪木やをもき
帰る山人
かねのをとを
まつにふきしく
をひかぜに
つまきやをもき
かへるやまひと


入逢の
鐘のをとこそ
かなしけれ
けふをむなしく
くれぬとおもへは
いりあひの
かねのをとこそ
かなしけれ
けふをむなしく
くれぬとおもへは


夜、法文を清談するに、時うつりゆきて後夜の鐘を聞てよめる

高弁上人



法の声に
きゝそわかれぬ
なかき夜の
ねふりをさます
あかつきの鐘
のりのこゑに
ききそわかれぬ
なかきよの
ねふりをさます
あかつきのかね


初瀬山
尾上の花は
かすみくれて
麓にひゝく
入あひのこゑ
はつせやま
おのえのはなは
かすみくれて
ふもとにひゝく
いりあひのこゑ


入逢の
声する山の
陰暮て
花の木のまに
月出にけり
いりあひの
こゑするやまの
かげくれて
はなのこのまに
つきいでにけり


つくづくと
ものをおもふに
うちそへて
をりあはれなる
かねの音かな
つくづくと
ものをおもふに
うちそへて
をりあはれなる
かねのおとかな


あたなれと
けふの命も
ありすきぬ
いつを限そ
入相のかね
あたなれと
けふのいのちも
ありすきぬ
いつをかぎりそ
いりあひのかね


いつまてか
きかむとすらん
入逢の
かねてはしらぬ
哀世の中
いつまてか
きかむとすらん
いりあひの
かねてはしらぬ
あはれよのなか


ゆけと猶
またてらみえぬ
松原の
おくよりひゝく
入相のこゑ
ゆけとなほ
またてらみえぬ
まつはらの
おくよりひゝく
いりあひのこゑ


きゝわひぬ
軒はの松を
吹しほる
嵐にこもる
入あひのこゑ
ききわひぬ
のきはのまつを
ふきしほる
あらしにこもる
いりあひのこゑ


此里は
山陰なれは
外よりも
暮はてゝ聞
入逢の声
このさとは
やまかげなれは
ほかよりも
くれはててきく
いりあひのこゑ


契あれは
暁ふかく
聞かねに
行末かけて
夢やさめなむ
ちぎりあれは
あかつきふかく
きくかねに
ゆくすゑかけて
ゆめやさめなむ


うつゝにも
別しかねの
こゑなれは
逢とみし夜の
夢もさめけり
うつつにも
わかれしかねの
こゑなれは
あふとみしよの
ゆめもさめけり


喚鐘は
大と小とに
中々に
大と五つの
数を打つなり



うちわびて
ねにける夜半の
鐘の音に
驚かされて
月や詠めし
うちわびて
ねにけるよはの
かねのねに
おどろかされて
つきやながめし


歸るさの
かねまつ程の
有明に
つれなからしと
鳴くほとゝぎす
かへるさの
かねまつほどの
ありあけに
つれなからしと
なくほととぎす


秋のよの
月に冴えたる
鐘の音に
やがてもときの
うつりぬる哉
あきのよの
つきにさえたる
かねのねに
やがてもときの
うつりぬるかな


時うつる
鐘のおとぞと
聞くからに
月もなかばの
かげや更けぬる
ときうつる
かねのおとぞと
きくからに
つきもなかばの
かげやふけぬる


鐘の音に
驚くとしも
なき夢の
名残も悲し
有明の空
かねのねに
おどろくとしも
なきゆめの
なごりもかなし
ありあけのそら
Уж звон колокольный
вещает, что близок рассвет.
Лишь горечь осталась
от печальных снов этой ночи,
проведенной в слезах и пенях...

難暮易明五月時
郭公緩叫又高飛
一宵鐘漏盡尤早
想像閨筵怨婦悲




霜月輕往驚單人
曉樓鐘響覺眠人
戀破心留五十八
相思相語幾數處