Весна
2
Лето
0
Осень
1
Зима
6
Любовь
0
Благопожелания
15
Странствия
0
Разлука
1
Скорбь
1
Буддийское
0
Синтоистское
9
Разное
114
Иное
0
若浦尓
塩満来者
滷乎無美
葦邊乎指天
多頭鳴渡
わかのうらに
しほみちくれば
かたをなみ
あしへをさして
たづなきわたる
В этой бухте Вака,
Лишь нахлынет прилив,
Вмиг скрывается отмель,
И тогда в камыши
Журавли улетают крича…
* Эта танка Акахито представляет собой самостоятельную песню.
若浦尓
白浪立而
奥風
寒暮者
山跡之所念
わかのうらに
しらなみたちて
おきつかぜ
さむきゆふへは
やまとしおもほゆ
В вечерний час, когда у бухты Вака
Бушует в пене белая волна
И холоден на взморье
Резкий ветер,
Я о Ямато думаю с тоской!
* Песня странника из провинции Ямато.
和歌の浦を
松の葉ごしに
ながむれば
梢に寄する
海人の釣舟
わかのうらを
まつのはごしに
ながむれば
こずゑによする
あまのつりぶね
Через кроны сосен
Смотрю на бухту Вака,
И кажется,
Будто к самым вершинам
Подплывают рыбачьи челны.

鳴海潟
和歌の浦風
へだてずは
同じ心に
神も受くらむ
なるみがた
わかのうらかぜ
へだてずは
おなじこころに
かみもうくらむ
Раз и Наруми
достигает божественный ветер
Залива Поэзии,
пусть здешние боги тоже
внемлют моим молитвам.

藻塩草
かくともつきじ
君が代の
数によみおく
和歌の浦波
もしほぐさ
かくともつきじ
きみがよの
かずによみおく
わかのうらなみ
В бухте Вака морские травы
Приносят волны к берегам,
Их много, все их не собрать,
Как нет конца японским песням
И будущим твоим годам, о государь!
* Сложена поэтом в первый день вступления в должность ответственного секретаря Департамента поэзии.

* Бухта Вака находится в г. Вакаяма, ассоциируется с вака — «японская песня»: как невозможно собрать все водоросли, что приносит волна, так не собрать и всех песен (главной функцией Департамента поэзии был сбор песен и составление поэтических антологий). Восхваляя поэзию вака, автор, используя двузначный образ водорослей и песен, желает долголетия императору.

和歌
和歌わか
Песенная Бухта — Вака-но ура:

行春に
わかの浦にて
追付たり
ゆくはるに
わかのうらにて
おひつきたり
Уходит весна.
В Песенной бухте её
Догнать удалось.

衣袖之
真若之浦之
愛子地
間無時無
吾戀钁
ころもでの
まわかのうらの
まなごつち
まなくときなし
あがこふらくは
Рукава кладутся в изголовье…
В бухте этой, что зовут Вака,
Берега из мелкого песка,
Нет там промежутков. Не имеет срока
Безграничная любовь моя!

若乃浦尓
袖左倍<沾>而
忘貝
拾杼妹者
不所忘尓
わかのうらに
そでさへぬれて
わすれがひ
ひりへどいもは
わすらえなくに
В бухте дальней, что зовут Вака,
Промочив насквозь свой шёлковый рукав,
Собирал я раковины “позабудь”…
Но напрасно! Милую мою
Всё равно я не могу забыть!
* Раковины “позабудь” — это раковины редкой красоты, любуясь, которыми люди забывают горе, печаль, несчастную любовь и т. и. (К.), название их отражает древнюю веру в магию слов (см. п. 3080).
そもそも、昔は五たびゆづりし跡をたづねて、あまつひつぎの位にそなはり、今はやすみしる名をのがれて、はこやの山にすみかをしめたりといへども、すべらぎはこたる道をまもり、星の位はまつりごとをたすけし契りを忘れずして、天の下しげきことわざ、雲の上のいにしへにもかはらざりければ、よろづの民、春日野の草のなびかぬ方なく、よもの海、あきつしまの月しづかにすみて、わかのうらの跡をたづね、しきしまの道をもてあそびつつ、この集を選びて、長き代に伝へむとなり。

В незапамятные времена в царстве Хань государь Вэнь пять раз отказывался занять трон. Были такие примеры и в нашей стране. И в нынешнее время не спешили мы занять место, следующее за небесным солнцем, и избегали привычного титула властителя[29]. И хоть ныне на сем месте обитаем, но это лишь во имя исполнения долга наследника. А бесчисленные и многотрудные дела государственные помогают нам вести высшие министры и придворные, равно как и управлять делами двора. И все ведется исправно, как было и прежде: и звезды знают свое место, и на облаках всё спокойно[30]. И многочисленные подданные повинуются нам беспрекословно, — подобно траве на поле Касуга, что клонится долу даже от легкого ветерка. Мир и покой царит в стране Акицусима[31], и в чистом небе ее на все четыре стороны моря ясно светит луна. А если обратимся теперь к Бухте Вака[32], то увидим, что не потерян след острова Сикисима[33], и, предприняв ныне новое собрание песен, продолжим мы дальше путь японской песни. Собрали
мы песни — во благо и в назидание будущим поколениям на долгие времена.
29. Предисловие написано Ёсицунэ от имени императора Готобы — отсюда форма местоимения мы. Титул властителя — тэнно — «сын неба». В 1198 г. Готоба отрёкся от императорского трона и принял монашеский сан, однако после этого стал править как государь-инок, получив имя Готоба-но ин. Готоба сопоставляет себя с императором ранней династии Хань в древнем Китае — государем Вэнь Ди.
30. Звезды знают свое место... — автор использует одну из постоянных метафор, образ-символ, подразумевающий государственных чиновников, придворных. На облаках все спокойно... постоянная метафора, символ императорского дворца.
31. Акицусима — одно из древнейших названий Японии.
32. Бухта Вака — прибрежная зона в префектуре Вакаяма. В данном случае — образно-метафорическое обозначение японской песни вака.
33. Сикисима — ещё одно старинное метафорическое обозначение песен вака. «Путь Сикисимы» — аналог выражения «Путь
японской песни», т.е. развития поэзии вака.
わかのうらをよみ侍りける

祝部宿禰成仲
わかのうらをよみ侍りける

祝部宿禰成仲
О "бухте песен" Вака

Хорибэ-но Наринака

和歌の浦に
家の風こそ
なけれども
波吹く色は
月に見えけり
わかのうらに
いへのかぜこそ
なけれども
なみふくいろは
つきにみえけり
Бухта Вака — дом нашей песни
И пристань на ее пути,
И хоть не дует ветер,
Волны пляшут,
В лучах сияющей луны.

和歌の浦に
月の出で潮の
さすままに
夜鳴く鶴の
声ぞかなしき
わかのうらに
つきのいでしほの
さすままに
よるなくつるの
こゑぞかなしき
В бухте Вака
Каждой ночью,
Лишь выйдет луна
И начнется прилив,
Слышу жалобный крик журавлей.

和歌の浦や
沖つ潮合ひに
浮かび出づる
あはれ我が身の
よるべ知らせよ
わかのうらや
おきつしほあひに
うかびいづる
あはれわがみの
よるべしらせよ
Бухта Вака!
Песни японской старинная пристань,
Словно морские потоки, певцы
Встречаются здесь.
Помоги же и мне войти в твою гавань!

和歌の浦に
かきとどめたる
もしほ草
これを昔の
かたみとは見よ
わかのうらに
かきとどめたる
もしほくさ
これをむかしの
かたみとはみよ


消えもせじ
和歌の浦路に
年をへて
光をそふる
あまのもしほ火
きえもせじ
わかのうらぢに
としをへて
ひかりをそふる
あまのもしほひ


美作や
くめの皿山と
思へ共
和歌の浦とぞ
云ふべかりける
みまさかや
くめのさらやまと
おもへども
わかのうらとぞ
いふべかりける


にへのかぜ
ふきつたふとも
わかのうらに
かひあることの
はにてこそしれ



和歌の浦に
獨老いぬる
よるの鶴の
子の爲思ふ
ね社なかるれ
わかのうらに
ひとりおいぬる
よるのつるの
ねのためおもふ
ねこそなかるれ


人並に
心計は
たち添ひて
さそはぬわかの
うらみをぞする
ひとならに
こころばかりは
たちそひて
さそはぬわかの
うらみをぞする


わかの浦
芦べのたづの
なく聲に
夜わたる月の
影ぞ寂しき
わかのうら
あしべのたづの
なくこゑに
よわたるつきの
かげぞさひしき
В бухте Вака
В тростниках журавля
Голос слышен,
И в свете ночной луны
Так одиноко!
Примерный перевод

我世には
集めぬわかの
浦千鳥
むなしき名をや
跡に殘さむ
わがよには
あつめぬわかの
うらちとり
むなしきなをや
あとにのこさむ


老の波
よせじと人は
厭ふとも
まつらむ物を
わかの浦には
おいのなみ
よせじとひとは
いとふとも
まつらむものを
わかのうらには


數々に
みがく玉藻の
あらはれて
御代靜かなる
わかの浦浪
かずかずに
みがくたまもの
あらはれて
みよしづかなる
わかのうらなみ


和歌の浦に
しられぬ蜑の
藻汐草
すさび計に
朽や果てなむ
わかのうらに
しられぬあまの
もしほくさ
すさびばかりに
くちやはてなむ


藻汐草
かき置く跡や
いかならむ
我身によらむ
和歌の浦浪
もしほくさ
かきおくあとや
いかならむ
わがみによらむ
わかのうらなみ


契りおきし
契の上に
そへおかむ
わかの浦路の
蜑のもしほ木
ちぎりおきし
ちぎりのうへに
そへおかむ
わかのうらぢの
あまのもしほき


わかの浦に
汐木重ぬる
契をば
かけるたくもの
跡にてぞみる
わかのうらに
しほきかさぬる
ちぎりをば
かけるたくもの
あとにてぞみる


志きしまや
やまと島ねの
かぜとして
吹き傳へたる
ことの葉は
神の御代より
かはたけの
世々に流れて
絶えせねば
今もはこやの
やまかぜの
枝もならさず
しづけさに
むかしの跡を
たづぬれば
峰の木ずゑも
かげしげく
よつの海にも
なみ立たず
和歌のうら人
かずそひて
藻汐のけぶり
立ちまさり
行く末までの
ためしをぞ
島のほかにも
きこゆなる
これを思へば
きみが代に
あふくま河は
うれしきを
みわだに懸る
うもれ木の
しづめることは
からびとの
みよ迄あはぬ
なげきにも
限らざりける
身のほどを
思へばかなし
かすがやま
峯のつゞきの
まつがえの
いかに指ける
すゑなれや
きたの藤なみ
かけてだに
云にもたらぬ
しづえにて
した行く水の
こされつゝ
いつゝの品に
としふかく
十とてみつに
へにしより
よもぎの門に
さしこもり
みちのしば草
おひはてゝ
春のひかりは
こととをく
秋はわが身の
うへとのみ
つゆけき袖を
いかゞとも
とふ人もなき
まきの戸に
猶ありあけの
つきかげを
まつことがほに
ながめても
思ふこゝろは
おほぞらの
空しき名をば
おのづから
殘さむことも
あやなさに
なにはのことも
津のくにの
葦のしをれの
刈りすてゝ
すさびにのみぞ
なりにしを
きし打つ浪の
たちかへり
かゝるみことも
かしこさに
入江のもくづ
かきつめて
とまらむ跡は
みちのくの
忍ぶもぢずり
みだれつゝ
忍ぶばかりの
ふしやなからむ
しきしまや
やまとしまねの
かぜとして
ふきつたへたる
ことのはは
かみのみよより
かはたけの
よよにながれて
たえせねば
いまもはこやの
やまかぜの
えだもならさず
しづけさに
むかしのあとを
たづぬれば
みねのこずゑも
かげしげく
よつのうみにも
なみたたず
わかのうらひと
かずそひて
もしほのけぶり
たちまさり
ゆくすゑまでの
ためしをぞ
しまのほかにも
きこゆなる
これをおもへば
きみがよに
あふくまかはは
うれしきを
みわだにかける
うもれこの
しづめることは
からびとの
みよまであはぬ
なげきにも
かぎらざりける
みのほどを
おもへばかなし
かすがやま
みねのつづきの
まつがえの
いかにさしける
すゑなれや
きたのふぢなみ
かけてだに
いにもたらぬ
しづえにて
したゆくみづの
こされつつ
いつつのしなに
としふかく
とをとてみつに
へにしより
よもぎのかどに
さしこもり
みちのしばくさ
おひはてて
はるのひかりは
こととをく
あきはわがみの
うへとのみ
つゆけきそでを
いかがとも
とふひともなき
まきのとに
なほありあけの
つきかげを
まつことがほに
ながめても
おもふこころは
おほぞらの
むなしきなをば
おのづから
のこさむことも
あやなさに
なにはのことも
つのくにの
あしのしをれの
かりすてて
すさびにのみぞ
なりにしを
きしうつなみの
たちかへり
かかるみことも
かしこさに
いりえのもくづ
かきつめて
とまらむあとは
みちのくの
しのぶもぢずり
みだれつつ
しのぶばかりの
ふしやなからむ


わかの浦や
昔にかへる
波のうへに
光あまねき
秋の夜の月
わかのうらや
むかしにかへる
なみのうへに
ひかりあまねき
あきのよのつき


和歌の浦の
浪の下草
いかにして
月に志らるゝ
名を殘さまし
わかのうらの
なみのしたくさ
いかにして
つきにしらるる
なをのこさまし


わかの浦に
昔を忍ぶ
はま千鳥
跡思ふとて
ねをのみぞ鳴く
わかのうらに
むかしをしのぶ
はまちとり
あとおもふとて
ねをのみぞなく
В бухте Песен,
Тоскуя о былом,
Кулики прибрежные
Лишь в голос плачут:
Останется печаль...
Примерный перевод

わかの浦に
おひずば爭で
藻汐草
浪の所爲も
かき集めまし
わかのうらに
おひずばいかで
もしほくさ
なみのしよゐも
かきあつめまし

所爲?
和歌の浦に
降積む雪も
けふし社
代々に變らぬ
跡は見ゆらめ
わかのうらに
ふりつむゆきも
けふしこそ
よよにかはらぬ
あとはみゆらめ


和歌の浦と
云にて知ぬ
風吹かば
浪のよりこと
思ふ成べし
わかのうらと
いひにてしらぬ
かぜふかば
なみのよりこと
おもふなるべし


和歌の浦の
みちをばすてぬ
神なれば
哀をかけよ
住吉の浪
わかのうらの
みちをばすてぬ
かみなれば
あはれをかけよ
すみよしのなみ


跡たれし
もとのちかひを
忘れずば
昔にかへれ
和歌の浦波
あとたれし
もとのちかひを
わすれずば
むかしにかへれ
わかのうらなみ


思のみ
滿ちゆく汐の
蘆分に
さはりも果てぬ
和歌のうら舟
おもひのみ
みちゆくしほの
あしわけに
さはりもはてぬ
わかのうらふね


あし原の
跡とばかりは
忍べども
よる方志らぬ
和歌の浦浪
あしはらの
あととばかりは
しのべども
よるかたしらぬ
わかのうらなみ


いにしへの
和歌の浦ぢの
友千鳥
跡ふむ程の
言の葉もがな
いにしへの
わかのうらぢの
ともちとり
あとふむほどの
ことのはもがな


いにしへの
和歌の浦ぢの
友千鳥
跡ふむ程の
言の葉もがな
いにしへの
わかのうらぢの
ともちとり
あとふむほどの
ことのはもがな


徒らに
心ばかりは
よすれども
まだ名をかけぬ
和歌の浦浪
いたづらに
こころばかりは
よすれども
まだなをかけぬ
わかのうらなみ


徒らに
心ばかりは
よすれども
まだ名をかけぬ
和歌の浦浪
いたづらに
こころばかりは
よすれども
まだなをかけぬ
わかのうらなみ


此の春ぞ
東に名をば
殘しける
よゝの跡ある
和歌のうら波
このはるぞ
あづまになをば
のこしける
よよのあとある
わかのうらなみ


あつめおく
ことばの林
散りもせで
千年變らじ
和歌の浦松
あつめおく
ことばのはやし
ちりもせで
ちとせかはらじ
わかのうらまつ


あつめおく
ことばの林
散りもせで
千年變らじ
和歌の浦松
あつめおく
ことばのはやし
ちりもせで
ちとせかはらじ
わかのうらまつ


和歌の浦に
みがける玉を
拾ひおきて
古今の
數をみるかな



和歌の浦や
藻に埋もれし
玉も今
光を添へて
神ぞ見るらし
わかのうらや
もにうづもれし
たまもいま
ひかりをそへて
かみぞみるらし


おほよそ出雲八雲の色に志を染め、和歌の浦波に名をかくる人々、流れての世に絶えずして、



跡つけむ
方ぞ知られぬ
濱千鳥
和歌の浦わの
友なしにして
あとつけむ
かたぞしられぬ
はまちとり
わかのうらわの
ともなしにして


今も猶
なれし昔は
忘れぬを
かけざらめやは
和歌のうら波
いまもなほ
なれしむかしは
わすれぬを
かけざらめやは
わかのうらなみ


かひ積る
藻屑のみして
あるかひも
渚によする
和歌の浦波
かひつもる
もくづのみして
あるかひも
なぎさによする
わかのうらなみ


かひ積る
藻屑のみして
あるかひも
渚によする
和歌の浦波
かひつもる
もくづのみして
あるかひも
なぎさによする
わかのうらなみ


いかにして
立昇る覽
越ゆべしと
思ひもよらぬ
和歌の浦波
いかにして
たちのぼるらん
こゆべしと
おもひもよらぬ
わかのうらなみ


人志れぬ
音をのみなきて
濱千鳥
跡をぞかこつ
和歌の浦波
ひとしれぬ
ねをのみなきて
はまちとり
あとをぞかこつ
わかのうらなみ


人志れぬ
音をのみなきて
濱千鳥
跡をぞかこつ
和歌の浦波
ひとしれぬ
ねをのみなきて
はまちとり
あとをぞかこつ
わかのうらなみ


和歌の浦に
沈み果てにし
捨舟も
今人並の
世にひかれつゝ
わかのうらに
しずみはてにし
すてふねも
いまひとなみの
よにひかれつつ


和歌の浦に
沈み果てにし
捨舟も
今人並の
世にひかれつゝ
わかのうらに
しずみはてにし
すてふねも
いまひとなみの
よにひかれつつ


知べせよ
和歌の浦わの
友千鳥
いつ人數の
名をもかけまし
しるべせよ
わかのうらわの
ともちとり
いつひとかずの
なをもかけまし


尋ね見よ
和歌の浦路の
友千鳥
立ち離れ行く
跡はいかにと
たづねみよ
わかのうらぢの
ともちとり
たちはなれゆく
あとはいかにと


若の浦
の松に絶せぬ
風の音に
聲打添ふる
たづぞ鳴くなる
わかのうら
のまつにたせぬ
かぜのねに
こゑうちそふる
たづぞなくなる


藻鹽草
流石かき置く
跡なれや
八十ぢを越ゆる
和歌の浦波
もしほくさ
さすがかきおく
あとなれや
やそぢをこゆる
わかのうらなみ


藻鹽草
流石かき置く
跡なれや
八十ぢを越ゆる
和歌の浦波
もしほくさ
さすがかきおく
あとなれや
やそぢをこゆる
わかのうらなみ


偖も何時
誰かは引かむ
若の浦に
まだ寄りやらぬ
世々の捨舟
さてもいつ
たれかはひかむ
わかのうらに
まだよりやらぬ
よよのすてふね


和歌の浦
や羽根打ちかは
し濱千鳥
波に書置く
跡や殘らむ
わかのうら
やはねうちかは
しはまちと
りなみにかおく
あとやのこらむ


和歌の浦
や羽根打ちかは
し濱千鳥
波に書置く
跡や殘らむ
わかのうら
やはねうちかは
しはまちと
りなみにかおく
あとやのこらむ


さても猶
哀はかけよ
老の波
末吹きよわる
和歌のうらかぜ
さてもなほ
あはれはかけよ
おいのなみ
すゑふきよわる
わかのうらかぜ


敷嶋の
道は代々經し
跡ながら
猶身に越ゆる
和歌のうら波
しきしまの
みちはよよへし
あとながら
なほみにこゆる
わかのうらなみ


今はとて
澤邊に歸る
芦たづの
なほ立ち出づる
和歌の浦波
いまはとて
さはべにかへる
あしたづの
なほたちいづる
わかのうらなみ


今はとて
澤邊に歸る
芦たづの
なほ立ち出づる
和歌の浦波
いまはとて
さはべにかへる
あしたづの
なほたちいづる
わかのうらなみ


我が方に
和歌の浦風
吹きしより
藻屑も波の
便りをぞ待つ
わがかたに
わかのうらかぜ
ふきしより
もくづもなみの
たよりをぞまつ


我が方に
和歌の浦風
吹きしより
藻屑も波の
便りをぞ待つ
わがかたに
わかのうらかぜ
ふきしより
もくづもなみの
たよりをぞまつ


藻汐草
かくかひあらば
和歌の浦に
跡つけぬべき
言の葉もがな
もしほくさ
かくかひあらば
わかのうらに
あとつけぬべき
ことのはもがな


和歌の浦に
又も拾はゞ
玉津島
おなじ光の
かずにもらすな
わかのうらに
またもひろはば
たまつしま
おなじひかりの
かずにもらすな


伊勢島や
潮干のかたの
朝なぎに
霞にまがふ
和歌のまつ原
いせしまや
しほひのかたの
あさなぎに
かすみにまがふ
わかのまつはら


若浦に
潮滿ち來れば
潟を無み
葦邊を指して
鶴鳴き渡る
わかのうらに
しほみちくれば
かたをなみ
あしへをさして
たづなきわたる


わかのうらの柳をよめる

よむ人しらず 「まよふきんのね」



藻鹽草
かき集めたる
和歌の浦の
その人數に
思ひ出でずや
もしほくさ
かきあつめたる
わかのうらの
そのひとかずに
おもひいでずや


和歌の浦に
心をよせて
年ふれど
藻屑うづもる
玉は拾はず
わかのうらに
こころをよせて
としふれど
もくづうづもる
たまはひろはず


若の浦の
波の數には
もれにけり
かくかひもなき
藻鹽草哉
わかのうらの
なみのかずには
もれにけり
かくかひもなき
もしほくさかな


和歌の浦に
身ぞうき波の
蜑小舟
流石かさなる
跡な忘れそ
わかのうらに
みぞうきなみの
あまをぶね
さすがかさなる
あとなわすれそ


若の浦に
立昇るなる
波の音は
こさるゝ身にも
嬉しとぞ聞く
わかのうらに
たちのぼるなる
なみのおとは
こさるるみにも
うれしとぞきく


むかし今
ひろへる玉藻
數々に
光をそふる
わかのうらなみ
むかしいま
ひろへるたまも
かずかずに
ひかりをそふる
わかのうらなみ


和歌の浦に
二度玉を
磨くこそ
あきらけき世の
印なりけれ
わかのうらに
ふたたびたまを
みがくこそ
あきらけきよの
しるしなりけれ


和歌の浦に
寄る年波を
算へ知る
御代ぞ嬉しき
老らくの爲
わかのうらに
よるとしなみを
かぞへしる
みよぞうれしき
おいらくのため


和歌の浦に
玉拾ふべき
みことのり
道を守らば
神もうくらむ
わかのうらに
たまひろふべき
みことのり
みちをまもらば
かみもうくらむ


人なみに
名をやかくると
和歌の浦に
猶跡慕ふ
友千鳥かな
ひとなみに
なをやかくると
わかのうらに
なほあとしたふ
ともちとりかな


和歌の浦に
心をとめて
濱千鳥
跡まで思ふ
音こそなかるれ
わかのうらに
こころをとめて
はまちとり
あとまでおもふ
ねこそなかるれ


立歸り
和歌の浦波
この御世に
老いて再び
なをぞかけつる
たちかへり
わかのうらなみ
このみよに
をいてふたたび
なをぞかけつる


和歌の浦に
年ふるたづの
雲居まで
聞えあげゝる
道ぞ畏き
わかのうらに
としふるたづの
くもゐまで
きこえあげける
みちぞかしこき


古の
跡ある和歌の
浦千鳥
立ちかへりても
名をやのこさむ
いにしへの
あとあるわかの
うらちとり
たちかへりても
なをやのこさむ


和歌の浦に
通ひけりとも
濱千鳥
心の跡を
いつか知られむ
わかのうらに
かよひけりとも
はまちとり
こころのあとを
いつかしられむ


君住めば
寄する玉藻も
磨きいでつ
千世も傳へよ
和歌の浦風
きみすめば
よするたまもも
みがきいでつ
ちよもつたへよ
わかのうらかぜ


はまゆふに
君がちとせの
重なれば
よに絶ゆまじき
和歌の浦波
はまゆふに
きみがちとせの
かさなれば
よにたゆまじき
わかのうらなみ


濱木綿に
かさなる年ぞ
あはれなる
わかの浦波
よにたえずとも
はまゆふに
かさなるとしぞ
あはれなる
わかのうらなみ
よにたえずとも


こゝに呉竹のその人かずにつらなりても、三代の御門につかへ、わかの浦の道にたづさひては、なゝそぢのしほにもみちぬるうへ、かつことを千さとのほかにさだめしむかしは、野邊のくさ、ことしげきにもまぎれき。



いにしへの
跡みるわかの
浦鵆
をよばぬかたに
ねをのみぞ鳴
いにしへの
あとみるわかの
うらちどり
をよばぬかたに
ねをのみぞなく


和歌の浦に
立てし誓の
宮柱
いく世もまもれ
しきしまの道
わかのうらに
たてしちかひの
みやはしら
いくよもまもれ
しきしまのみち


和哥の浦や
松の木のまの
夜半の月
心つくさで
身をてらさばや
わかのうらや
まつのこのまの
よはのつき
こころつくさで
みをてらさばや


忍ばるゝ
昔のわかの
浦鵆
跡はかはらぬ
ねをもきくかな
しのばるる
むかしのわかの
うらちどり
あとはかはらぬ
ねをもきくかな


戀しさも
いかにせよとて
わかの浦に
なれし千鳥の
跡をみすらん
こひしさも
いかにせよとて
わかのうらに
なれしちとりの
あとをみすらん


君だにも
戀なるわかの
友鵆
いかにねをなく
恨とかしる
きみだにも
こひなるわかの
ともちどり
いかにねをなく
うらみとかしる


代々の跡に
名をのみつりて
かひなきは
よるべもしらぬ
わかの浦船
よよのあとに
なをのみつりて
かひなきは
よるべもしらぬ
わかのうらふね


いにしへの
跡を殘さば
ことの葉を
吹もつたへよ
わかのうらかぜ
いにしへの
あとをのこさば
ことのはを
ふきもつたへよ
わかのうらかぜ


なに事を
思とはなき
老が身の
こゝろにかゝる
わかの浦なみ
なにことを
おもひよはなき
おいがみの
こころにかかる
わかのうらなみ


和哥の浦の
玉をみがける
人なみに
もくづばかりを
かきやをくべき
わかのうらの
たまをみがける
ひとなみに
もくづばかりを
かきやをくべき


わかの浦や
かゝるしるベを
待えても
をよばぬ浪に
ぬるゝ袖哉
わかのうらや
かかるしるベを
まちえても
をよばぬなみに
ぬるるそでかな


哀はや
浪おさまりて
和哥の浦に
みがける玉を
ひろふ世もがな
あはれはや
なみおさまりて
わかのうらに
みがけるたまを
ひろふよもがな


いかはかり
和歌の浦風
身にしみて
宮はしめけむ
玉津島姫
いかはかり
わかのうらかぜ
みにしみて
みやはしめけむ
たまつしまひめ


和歌の浦に
塩みちくれは
かたをなみ
芦へをさして
たつ鳴わたる
わかのうらに
しほみちくれは
かたをなみ
あしへをさして
たつなきわたる


和歌浦に
波よせかくる
もしほ草
かきあつめてそ
玉もみえける
わかうらに
なみよせかくる
もしほくさ
かきあつめてそ
たまもみえける


いかはかり
和歌の浦風
身にしみて
宮はしめけむ
玉津島姫
いかはかり
わかのうらかぜ
みにしみて
みやはしめけむ
たまつしまひめ


和歌の浦に
塩みちくれは
かたをなみ
芦へをさして
たつ鳴わたる
わかのうらに
しほみちくれは
かたをなみ
あしへをさして
たつなきわたる


かひもなき
和歌の浦はの
もしほ草
かきをくまてを
思出にせん
かひもなき
わかのうらはの
もしほくさ
かきをくまてを
おもいでにせん


数ならぬ
みくつなからも
和歌の浦の
浪にひかれて
名をやかけまし
かずならぬ
みくつなからも
わかのうらの
なみにひかれて
なをやかけまし


うきにのみ
袖はぬるとも
世ゝへぬる
跡をはのこせ
和歌の浦波
うきにのみ
そではぬるとも
よゝへぬる
あとをはのこせ
わかのうらなみ


あしたつの
世ゝにふみをく
跡なれは
わすれす忍へ
和歌の浦風
あしたつの
よゝにふみをく
あとなれは
わすれすしのへ
わかのうらかぜ


和歌の浦の
夕波千鳥
立かへり
心をよせし
かたになくなり
わかのうらの
ゆふなみちとり
たかへり
こころをよせし
かたになくなり


和歌の浦に
又この秋も
名をかけて
六代まて同し
月をみる哉
わかのうらに
またこのあきも
なをかけて
むよまておなし
つきをみるかな


尋行
和歌の浦ちの
浜千鳥
跡あるかたに
道しるへせよ
たづゆ
わかのうらちの
はまちとり
あとあるかたに
みちしるへせよ


としふりて
世をうみわたる
芦たつの
猶立ましる
和歌の浦なみ
としふりて
よをうみわたる
あしたつの
なほたましる
わかのうらなみ


あしたつの
ねにのみ鳴て
年もへぬ
あはれと思へ
和歌の浦人
あしたつの
ねにのみなきて
としもへぬ
あはれとおもへ
わかのうらひと


今よりは
家の風にそ
つたふへき
名をかけそむる
和歌の浦なみ
いまよりは
いへのかぜにそ
つたふへき
なをかけそむる
わかのうらなみ


玉ならぬ
もくつなからも
和歌の浦に
君みかゝはと
かきあつめつる
たまならぬ
もくつなからも
わかのうらに
きみみかかはと
かきあつめつる


和歌の浦の
なみに思はぬ
心より
そふへき玉の
ひかりをそみる
わかのうらの
なみにおもはぬ
こころより
そふへきたまの
ひかりをそみる


四海
すみかたき世の
思ひ出に
ふるきにかへれ
和歌の浦浪
ようみ
すみかたきよの
おもひいでに
ふるきにかへれ
わかのうらなみ


山のへの
跡もつたへぬ
身なれとも
その人かすに
いりしより
花の春とて
忘られす
月の秋にも
思ひいてゝ
こゝろにかけぬ
ときもなく
和歌の浦波
うち出ても
かひなかるへき
ことのはの
みなはつかしの
もりにふく
風のきこえを
つゝめとも
こやの池水
いひいてゝ
やかてやみなは
名をおしく
おもふあまりに
かきつむる
あまのもくつの
すゑの世に
残りとまりて
みんひとの
そしらんことも
はゝからす
もゝの歌をも
つらねをくかな
やまのへの
あともつたへぬ
みなれとも
そのひとかすに
いりしより
はなのはるとて
わすられす
つきのあきにも
おもひいてて
こころにかけぬ
ときもなく
わかのうらなみ
うちいでても
かひなかるへき
ことのはの
みなはつかしの
もりにふく
かぜのきこえを
つつめとも
こやのいけみづ
いひいてて
やかてやみなは
なをおしく
おもふあまりに
かきつむる
あまのもくつの
すゑのよに
のこりとまりて
みんひとの
そしらんことも
ははからす
もものうたをも
つらねをくかな


和歌の浦や
老木の松に
降雪の
つもれる年も
今そかひある
わかのうらや
おいこのまつに
ふるゆきの
つもれるとしも
いまそかひある


立かへり
和歌の浦波
さそはすは
かゝるもくつの
いかてしられん
たかへり
わかのうらなみ
さそはすは
かかるもくつの
いかてしられん


立かへり
思へはさすか
ふりにけり
五十なれぬる
和歌の浦浪
たかへり
おもへはさすか
ふりにけり
いそぢなれぬる
わかのうらなみ


雲ゐまて
聞えけるかな
和歌の浦の
あしへのたつの
ねにもたてぬを
くもゐまて
きこえけるかな
わかのうらの
あしへのたつの
ねにもたてぬを


和歌の浦の
塵につけとや
かきをかん
かひもなみまの
もくつなれとも
わかのうらの
ちりにつけとや
かきをかん
かひもなみまの
もくつなれとも


和歌の浦に
身は七十の
老の波
五たひおなし
名をそかけつる



和歌の浦や
風をたよりの
しるへにも
身そ出かての
海士の釣舟
わかのうらや
かぜをたよりの
しるへにも
みそいでかての
あまのつりぶね


春日やま
木たかき松も
としふりて
つゐにくちぬる
ならひとは
たれもさすかに
しらつゆの
めくみあまねき
ほとみえて
ひとかたならぬ
みちのへの
しるへとみしも
むかしより
かゝるためしは
なよ竹の
四たひかさねて
たちかへる
きたの藤浪
かけまくも
かしこかりつる
名にしあれは
はるはさくらに
色をそへ
夏はいつみを
手にむすひ
かなしき秋の
ゆふつゆに
あはれをかけし
ことのはも
はやかれはつる
ふゆ草の
跡なき霜の
きえかへり
なみたしほるゝ
ころもてを
かけてもほさぬ
さほかはの
なかれの末に
うきしつみ
これをおもへは
月かけの
雲にかくるゝ
こゝちして
もしほのけふり
ゆくゑなく
立へたてたる
和歌の浦の
おきをふかめて
おもひわひ
いとゝたよりも
波のうへに
残るを舟の
つなてなは
たえすはせめて
我きみの
御代につかふる
名はかりを
あれはある身と
たのみやはせん
かすがやま
きたかきまつも
としふりて
つゐにくちぬる
ならひとは
たれもさすかに
しらつゆの
めくみあまねき
ほとみえて
ひとかたならぬ
みちのへの
しるへとみしも
むかしより
かかるためしは
なよたけの
よたひかさねて
たちかへる
きたのふぢなみ
かけまくも
かしこかりつる
なにしあれは
はるはさくらに
いろをそへ
なつはいつみを
てにむすひ
かなしきあきの
ゆふつゆに
あはれをかけし
ことのはも
はやかれはつる
ふゆくさの
あとなきしもの
きえかへり
なみたしほるる
ころもてを
かけてもほさぬ
さほかはの
なかれのすゑに
うきしつみ
これをおもへは
つきかけの
くもにかくるる
ここちして
もしほのけふり
ゆくゑなく
たへたてたる
わかのうらの
おきをふかめて
おもひわひ
いととたよりも
なみのうへに
のこるをふねの
つなてなは
たえすはせめて
われきみの
みよにつかふる
なはかりを
あれはあるみと
たのみやはせん


猶まもれ
和歌の浦なみ
かゝる世に
あへるや道の
神もうれしき
なほまもれ
わかのうらなみ
かかるよに
あへるやみちの
かみもうれしき


和歌の浦に
年へてすみし
芦田鶴の
雲ゐにのほる
けふのうれしさ
わかのうらに
としへてすみし
あしたづの
くもゐにのほる
けふのうれしさ


和歌の浦や
かきをくなかの
もくつにも
かくれぬ玉の
光をそみる
わかのうらや
かきをくなかの
もくつにも
かくれぬたまの
ひかりをそみる


和歌の浦に
道ふみまよふ
よるの鶴
このなさけにそ
ねはなかれける
わかのうらに
みちふみまよふ
よるのつる
このなさけにそ
ねはなかれける


もしほ火の
煙のすゑを
たよりにて
しはし立よる
和歌の浦なみ
もしほひの
けぶりのすゑを
たよりにて
しはしたちよる
わかのうらなみ


もくつにも
光やそはむ
和歌の浦や
かひあるけふの
玉にましりて
もくつにも
ひかりやそはむ
わかのうらや
かひあるけふの
たまにましりて


玉津島
あはれとみすや
我かたに
ふきたえぬへき
和歌の浦風
たまつしま
あはれとみすや
わかかたに
ふきたえぬへき
わかのうらかぜ


和歌浦の
あしへのたつの
声はかり
浪にきこえて
立霞かな
わかのうらの
あしへのたつの
こゑはかり
なみにきこえて
たつかすみかな


和歌浦や
長く久しき
跡しあれは
猶千世そへて
田鶴も鳴なり
わかうらや
ながくひさしき
あとしあれは
なほちよそへて
たづもなくなり


和歌浦に
千ゝの玉もを
かきつめて
万代まても
君かみんため
わかのうらに
ちちのたまもを
かきつめて
よろづよまても
きみかみんため


わかの浦の
友をはなれて
さ夜千鳥
その数ならぬ
ねこそなかるれ
わかのうらの
ともをはなれて
さよちとり
そのかずならぬ
ねこそなかるれ


わかの浦に
跡つけなから
浜千鳥
名にあらはれぬ
ねをのみそなく
わかのうらに
あとつけなから
はまちとり
なにあらはれぬ
ねをのみそなく


若浦を読侍ける

皇太后宮大夫俊成女



人なみに
君忘れすは
わかのうらの
入江のもくつ
数ならすとも
ひとなみに
きみわすれすは
わかのうらの
いりえのもくつ
かずならすとも


名所歌よみ侍ける中に、和歌浦を

従三位為子



和歌のうらに
しつむみくつよ
みかゝれん
玉の光を
みるよしもかな
わかのうらに
しつむみくつよ
みかかれん
たまのひかりを
みるよしもかな


名をかけし
跡を尋て
もしほ草
又ももらすな
和歌のうら波
なをかけし
あとをたづねて
もしほくさ
またももらすな
わかのうらなみ


和歌浦の
契もふかし
もしほ草
しつまむ世ゝを
すくへとそ思
わかうらの
ちぎりもふかし
もしほくさ
しつまむよよを
すくへとそおも


しづみにき
今更和歌の
浦浪に
寄らばや寄せむ
あまの捨舟
しづみにき
いまさらわかの
うらなみに
よらばやよせむ
あまのすてふね


わかの浦の
よものもくつを
かき置て
あまのしわさの
程やしられん
わかのうらの
よものもくつを
かきおきて
あまのしわさの
ほどやしられん

*1わかの浦やイ
おさまれる
わかのうら風
静にて
ひろへる玉は
千世の数かも
おさまれる
わかのうらかぜ
しづかにて
ひろへるたまは
ちよのかずかも


和歌浦に
たゆたふ舟の
綱手なは
引人あらは
道もまよはし
わかうらに
たゆたふふねの
つなてなは
ひくひとあらは
みちもまよはし


和歌のうらや
塩ひのかたに
住千鳥
むかしの跡を
みるもかしこし
わかのうらや
しほひのかたに
すむちとり
むかしのあとを
みるもかしこし


もしほ草
かきあつめても
かひそなき
行ゑもしらぬ
和かのうら風
もしほくさ
かきあつめても
かひそなき
ゆくゑもしらぬ
わかのうらかぜ


かき置し
わかの浦ちの
もしほ草
いかなる方に
浪のよすらん
かきおきし
わかのうらちの
もしほくさ
いかなるかたに
なみのよすらん


かねてより
わかのうらちに
跡たれて
君をや待し
玉つ島ひめ
かねてより
わかのうらちに
あとたれて
きみをやまちし
たまつしまひめ


人並の
數にとのみや
和歌の浦の
入江の藻屑
書き集めまし
ひとなみの
かずにとのみや
わかのうらの
いりえのもくづ
かきあつめまし


なく〳〵も
跡とふ和歌の
浦千鳥
いかなる波に
立わかれけん
なくなくも
あととふわかの
うらちとり
いかなるなみに
たちわかれけん


伊勢島や
和歌の松原
見わたせは
夕しほかけて
秋風そふく
いせしまや
わかのまつはら
みわたせは
ゆふしほかけて
あきかぜそふく


和歌浦や
しらぬ塩ちに
こき出て
身にあまるまて
月をみる哉
わかうらや
しらぬしほちに
こきいでて
みにあまるまて
つきをみるかな


袖ぬらす
記念なりけり
もしほ草
かきをく跡の
わかの浦波
そでぬらす
かたみなりけり
もしほくさ
かきをくあとの
わかのうらなみ


和歌の浦に
うらむる波も
有るものを
松のあらしよ
心してふけ
わかのうらに
うらむるなみも
あるものを
まつのあらしよ
こころしてふけ


和歌のうらや
道ふみまよふ
さ夜千鳥
跡つけんとは
思はさりしを
わかのうらや
みちふみまよふ
さよちとり
あとつけんとは
おもはさりしを